天皇に御献上した蕎麦がある
縁結びの神様として知られる出雲大社。
そこに、江戸末期創業の老舗蕎麦屋「羽根屋」の本店がある。
羽根屋は天皇に蕎麦を御献上したことから「献上そば」と呼ばれるお店だ。
「出雲市」駅から徒歩5分のところに、献上そば 羽根屋 本店がある。
決して派手さはなく、周囲の住宅に溶け込んでいる。
「献上そば」こそが、羽根屋のアイデンティティだ。
それでは入店してみよう。
明治40年、大正天皇に蕎麦を献上
羽根屋は江戸時代末期に創業した蕎麦屋。
献上そばのの由来となったのは、1907年(明治40年)、当時皇太子であった、後の大正天皇に蕎麦を献上したことから始まる。
その後も1970年には昭和天皇・皇后両陛下、1982年には皇太子殿下(後の平成天皇)ご夫妻にも御献上。
こうして「献上そば」の歴史は着々と紡がれてきた。
出雲そばそば粉の選別をせず、そばの実を殻を付けたまま製粉するため、黒い見た目が特徴だ。
2022年2月現在、羽根屋は本店の他に伝承館店、大津店と、出雲市内に3店舗で運営されている。
店内に掲げられた「献上そばの由来」。
出雲大社のしめ縄のミニチュアが飾られていた。
コンパクトな店内には、テーブルがいくつか並んでいる。
絶品の割子そばをいただくことに
羽根屋のグランドメニュー。
出雲そばのスタイル「釜揚げそば」と「割子そば」それぞれの食べ方が指南されている。
今回は「割子蕎麦」をオーダー!
「割子蕎麦」の上にお好みの「薬味」と「そばだし」をかけてお召し上がり下さい。だしをあまりかけすぎないようにするのが、美味しく食べるこつです。「そば湯」は、そのままでも、または、「そばだし」をお好みの量だけ入れてお飲みになっても結構です。
そばの風味をじっくり楽しめる割子そば!
運ばれてきた「割子蕎麦」!!
三段に重ねられた丸い漆器が特徴だ。
箸袋は羽根屋のシグネチャーモデルだ。
そばの実を殻を付けたまま製粉されたという、やや黒い麺。
まずは何もつけず、蕎麦だけで頂く。
しっかりとしたコシがあり、純粋なそばの風味が味わえる。
蕎麦の実らしい感じも良く分かる風味だ。
そばだしはこちら。
これは薬味。
そばだしと共に味付けをして食べる。
そば湯も最初から付いてくる。
粗挽きの出雲生姜がたっぷり入った万能七味唐辛子があるという…
それがこれ!
そばだしに少し入れると、七味唐辛子のスパイシーな味わいがプラスされ、一気に私好みのものになった。
入り口横では、お土産品も多数並べられている。
献上そば 羽根屋 本店。
代々の天皇系に御献上してきたという出雲の由緒正しきそばだが、代表メニューの割子そばは大変リーズナブルで、なんだか天皇家と自分の距離すらも縮まったような気がした。
出雲大社と出雲蕎麦。その中でも、天皇系に献上されたという特別さを持つ、羽根屋。
参拝の後に、ゆっくりと割子そばを楽しむのも、悪くない。