吉田松陰の街で生まれた絶品うどん
山口県の萩市で生まれ、山口県を中心にチェーン展開するうどん店「どんどん」。
その本店は、「土原(ひじわら)店」。
JR山陰本線 東萩駅から徒歩5分の所にある。
萩の街の玄関口である東萩駅。
ここからすぐの所にどんどんの本店、土原店がある。
とはいえ地元の方々はほぼ車で移動するため、鉄道の駅からどんどんの本店に行くのは、遠方のファンだけだろう。
駅前広場には萩城の復元模型がある。少し痛んだ姿がもの悲しい。
松本川を渡り、少し歩いた所にあるのが、どんどん 本店 土原店!
城下町らしく、倉をモチーフにした外観がトラディショナルな雰囲気を醸し出している。
地元の方の車が吸い寄せられるようにやってくる。
朝9時から11時まではお得なモーニングうどんの時間だ。
それでは、入店してみよう。
そのお店は、行列が途切れない!
どんどんの創業は1972年。大阪万博が開催され、日本の外食元年と言われた時代。
この時代はマクドナルドやすかいらーくなど、その後日本に定着した飲食チェーン店が多く創業している。
どんどんは、その流れとは全く関係無さそうな萩市の商店街で、創業者である砂田シゲヨ氏によって生まれた。
当時の1号店は、当初「うどんの店」という店名だったという。
そして「どんどん」という名前に変え、2号店である土原店を1973年にオープンさせる。それがこの本店だ。
なお、どんどんの現状最古店は萩市内にある唐樋(からひ)店だ。
砂田シゲヨ氏の考案したうどんは萩市内で高い評判を呼び、店はあっという間に人気店に。
山口県内を中心に店舗数を増やしていった。
そして1993年、株式会社スナダフーヅへ組織変更し、本格的な全国展開を視野に、広島や岡山、東京にも店舗を設けた。
2022年1月現在、山口県を中心に35店舗で運営されている。
店内はそれほど広い空間ではなく、持ち帰り、店内飲食共に、キャッシュオンでオーダーするシステム。
そのオーダーのための長蛇の列が続いており、ずっと途切れない。
いかに地元で愛されているかがすぐに分かる空間である。
メニューはカウンターの上の木札にある。
肉天うどん、天ぷらうどん… 様々なうどんがラインナップしている。
いなりずしや角寿司なんかもある。
朝11時までのモーニングサービス。
開店と同時に満員になるほどの人気サービスだ。
どんどんのうどんは、お取り寄せ(全国配送)も対応しているという。
冷凍うどんが全国に配送される。
こちらはいなりずし、角寿司、おにぎりなどの冷蔵庫。
今回は、「肉天うどん」「角寿司」をオーダー!
オーダーすると、このようなプラスチックの札を渡される。
甘めの出汁と柔らかい麺!どこまでも食べられそうな自然で優しい味
テーブルに運ばれてきた「肉天うどん」と「角寿司」!
そしてネギは入れ放題ということで、自分用のネギ小鉢まで付いてくる。
「肉天うどん」
たっぷりの牛バラ肉と大きなエビ天が、インパクト大だ。
見るからに食欲をそそる色をした出汁…
ここに、ネギを好きなだけトッピングする!
七味唐辛子も用意されている。
七味は最初から入れずに
半分以上食べてから入れてみてください。
一っぱいのうどんで二つの味が楽しめます。
重要ポインツが解説されている。
そう、うどんにとって七味唐辛子は味変ツール。
最初から入れるのではなく、途中で入れることで、最後まで飽きずに食べきることができるというものだ。
食べてみると、まず麺が柔らかく、喉ごしはツルツルで、噛むと適度な弾力がある。
福岡うどんにも近い柔らかさだが、やや弾力があって、面白い。
この喉ごしは、提供する15分前に釜揚げしたばかりのフレッシュな麺だから実現したものだという。
そして出汁は甘めの味付けがなされている。
これは、利尻産の昆布と天草のうるめ節、焼津のサバ節で摂られた出汁とのこと。
どんどんは、自然由来の素材のみで作られるので、身体の中にス~っと気持ち良く入ってくる。
「毎日食べて飽きない」と謳われている通り、これは飽きない味だ。
そして「角寿司」。
こちらはしっかりとした噛み応えと、ギッシリ詰まった密度感が楽しめる。
いや、むしろ想像以上のボリューム感である。
人参とさくらでんぷがトッピングされ、見た目にも華やかな角寿司。
土原店限定のサイドメニューだ。
1日限定17人前で、午前中で売り切れる日も多いのだとか。
「たなかうどん」とは何だ?
ここでさらに1品「たなかうどん」なるうどんをオーダー!
たなかうどん…?
聞いたことのないうどんだが、それもそのはず。
創業まもない頃、「田中さん」というスタッフが「肉とわかめを入れるのが美味しい」と、オリジナルのまかないを作って食べていたことがルーツになっているという。
だから、たなかうどん。
たなかうどんの札は、黄色に黒帯が巻かれたものだ。
これが「たなかうどん」!
田中さんが食べていたまかないそのままの、肉とわかめのうどんだ。
肉!!
そして…
わかめ!!
ありそうで、無かった組み合わせかも知れない。
たまらないルックスの、たなかうどん。
ここに、ネギをドバーっと!
この青ネギは、国産のものだという。
素材にこだわるどんどんらしいネギだ。
食べると、わかめの美味しさをダイレクトに感じることができる。
フレッシュな磯の香りが、うどん、牛肉と絡まって、極上の風味を届けてくれるのだ。
田中さん、あなたはなんて物を考案したのだ…
まだまだ続く行列を尻目に店を出た。
吉田松陰を生んだ萩の街に、こんなにも暖かく、優しい味わいのうどんがあった。