圧倒的なうどんカルチャーのエリアで、こだわりのそばを
四国は香川県をはじめ全体的にうどん文化の中、愛媛県を中心に展開する本格的なそばのチェーンがある。
松山市に本店を構える「そば吉」(そばきち)だ。
そば吉は2017年5月現在、松山市を中心に愛媛県内に9店舗、広島市内に2店舗で展開するそばチェーンである。
この本店は昭和34年8月に創業したそば吉の1号店であり、創業から60年近く経った今も当時と同じ場所で営業をしている老舗だ。
本格的なそば屋が比較的少ない四国にとって、珍しいともいえるそばのチェーンである。
平成17年12月16日の麺業新聞によると、四国での「好きな麺類」のアンケートは以下の通りだ。
「最も好きな麺類」
四国全体
うどん:44.5%
ラーメン:29.0%
そうめん:8.9%
そば:8.2%
パスタ:6.1%香川県
うどん:56.0%
ラーメン:15.4%
そうめん:11.2%
そば:7.2%
パスタ:6.8%徳島県
うどん:48.0%
ラーメン:24.0%
そうめん:13.8%
そば:7.4%
パスタ:3.8%愛媛県
うどん:44.2%
ラーメン:31.6%
パスタ:9.4%
そば:5.8%
そうめん:4.6%高知県
ラーメン:45.0%
うどん:29.8%
そば:12.2%
そうめん:6.0%
パスタ:4.4%
この結果を見るに、四国でも特に香川・愛媛・徳島でのうどんの強さは圧倒的である。
他県とは山で隔たれている高知のみラーメンが強いのは、夜遊び文化と関係しているのかも知れない。
そば吉は、四国ではマイノリティであるそば文化の中での貴重なそばチェーンである。
そば屋らしい雰囲気のある店内
店内は奥行きがある。壁に向かってカウンターが伸びているのが印象的だ。
2階席もある。
そば吉 本店のメニュー。
本店では、単品のそばにかやくごはんか白飯が付くサービスであるので、かやくごはんをつけてもらった。
風味が豊かな優しい味
そば吉 本店の天ぷらそば with かやくごはん。
こだわりのあるそばは香りがさわやかで、噛むとそばの風味が口の中に広がるのだが、まさにそんなそばであった。
そして何より、鰹出汁がパリっと効いたつゆ。松山でこんな本格的なそばが食べられるとは、想像を超えていた。
かやくごはんはそばの味を邪魔しないよう薄味で、ほんのりとした風味がやさしい。
うどん文化圏の中にあるそばチェーン「そば吉」。この日も満員で、少々並ばなければ入れないほどの人気であった。そしてそのそばは本格的で素晴らしいものであった。
松山で60年近くの歴史を誇る「そば吉 本店」は、繁華街の中に小さく、そして歴史が積み重なった存在感をも感じる店構えである。