熊本で生まれ、中国で大流行した豚骨ラーメン
味千と書いて〝あじせん〟こと、「味千ラーメン」(味千拉麺)。
その店は九州の熊本に生まれ、今や日本よりも中国国内で「味千拉麺」として圧倒的な店舗数を誇る、中国で最も有名なラーメン店だ。
その本店は、熊本市内にある。
熊本市中央区の水前寺にある味千ラーメンの本店。
堂々とした店構えに感じる、本店らしいオーラ。
「味千本店」と書かれた大きな看板が、本店の存在感を一層高めている。
ラーメンではなく「拉麺」という中国語読みで書かれた店名に、中国国内でスタンダードとなったラーメン店であることの矜持を感じさせてくれる。
味千ラーメンのキャラクター、「チイちゃん」。
これは味千ラーメンの先代社長の長女が3歳の時のイメージで作られたキャラクターとのことだ。
「マー油系 熊本豚骨」とある。
そう、博多豚骨でも鹿児島豚骨でもない熊本豚骨は、マー油がポイント。
それでは入店してみよう。
熊本豚骨の歴史、その太い幹
味千ラーメンは、日本国内では重光産業株式会社によって運営され、中国国内では味千(中国)控股有限公司によってフランチャイズされているラーメンチェーン店だ。
創業は1968年。台湾の客家人であった劉壇祥氏(後に重光孝治に改名)によって創業された。
その前に、熊本ラーメンの歴史をおさらいしておこう。
熊本ラーメンのベースは、言わずもがな、久留米に発祥した豚骨ラーメンにある。そのルーツの店は、現在も久留米にある「南京千両」であるが、現在のような白濁した豚骨スープを開発したのは「三九」という屋台の店だったという。
その「三九」に食べに行った劉壇祥氏はその味に感銘を受け、後に「松葉軒」を作る木村一氏、「こむらさき」を作る山中安敏氏と共にラーメンの店を目指すことを決め、劉壇祥氏は「桂花ラーメン」で調理担当を務めたあと、1968年に独立し、味千ラーメンを創業するという流れだ。
2022年6月現在、味千ラーメンは熊本を中心とした日本国内に65店、海外には中国を中心にシンガポールやカナダなどに700店舗以上で運営されている。
なお、現在の味千本店は2002年にリニューアルされたもので、1号店も現在と同様の熊本県庁の正面入口の脇にあった。つまり、創業の地を本店としている。
店内は広く、高い天井が開放的な空間だ。
フロアの中央には大きなテーブルがある。
そして座敷席も用意されている。
味千ラーメンのグランドメニュー。
「世界」を意識させてくれるようなデザインだ。
数々のバリエーションを持つラーメン。
そして餃子や炒飯などとのセットメニューもある。
ラーメンメニューに振られた番号の1番目が「パイクー麺」なのが個性的だ。
そして「復刻ラーメン昭和味」や「黒マー油ラーメン」「贅沢切り炙りチャーシュー麺」など、気になるメニューが並ぶ。
下段には「全のせラーメン」から、「醤油ラーメン」「味噌豚骨ラーメン」などもある。
「ちゃんぽん」に「太平燕」(タイピンエン)という、九州らしいものも。
今回は最もベーシックな「味千ラーメン」をオーダー!
マー油が香ばしい濃厚な豚骨ラーメン!
しばらくして運ばれてきた「味千ラーメン」!
豚骨ラーメンにして、茶色いスープ。
そして、マー油独特の香ばしい香りがたまらない。
この色は、「千味油」によるものだという。
千味油は熊本ラーメンのキャラクターを決定付ける、褐色のたれだ。
そこにアクセントとしてマー油が加えられているのが、味千ラーメンの特徴だ。
チャーシューはホロホロと柔らかく、舌の上で溶けていくような感覚を楽しめる。
麺は細麺でストレート。
熊本豚骨のスープによく絡み、ガーリックの美味しさによってターボがかかり、ツルツルと食べ進めてしまう。
スープも見た目ほどコッテリすぎず、気持ちの良いバランスで仕上げられている。
熊本で生まれ、熊本で愛され、そして世界へと広がった「味千ラーメン」。
特に、中国で700店舗以上もあるのは驚異的であり、他に類を見ない。
その本店は今も熊本の創業地にあり、香り立つマー油のラーメンを提供し続けている。
味千ラーメン 本店の地図
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