熊本から始まった九州最強の弁当チェーン
いくつかある熊本のローカルチェーン店の中で、群を抜いて広がったのは、中国に多数の店舗を持つ味千拉麺と、熊本を中心に九州中に多数の店舗を持つ「おべんとうのヒライ」ではないだろうか。
おべんとうのヒライはロードサイド型店舗とテナント入店型店舗があるが、1号店は昭和レトロな商店街として知られる子飼商店街の中にあるスーパーマーケット「マルショク子飼店」の中にあるコーナーだ。
昭和の趣を色濃く残すレトロな子飼商店街。
子飼商店街の中にあるスーパー「マルショク 子飼店」。
ここに、おべんとうのヒライが初めて設けた販売コーナーがある。
売り場の片隅にある「おべんとうのヒライ」のロゴ。
このコーナーにある惣菜は、すべてヒライのものだ。
おべんとうのヒライコーナー。
その種類の多さに圧倒される。
様々なお弁当が並び、選んでいるだけでも楽しそうだ。
地域に根ざし、実直に積み重ねてきた歴史を感じる直営店店内
おべんとうのヒライが創業したのは1968年。
当初は有限会社平井商店として、熊本市新町3丁目の旧・魚市場があったエリアに、惣菜などの卸売り店としてスタートした。
そして、戦後の闇市から発展し「熊本市民の台所」とまで言われるほど賑わいのあった子飼商店街のスーパーマーケット「丸食 子飼店」内に入居し、ヒライの弁当や惣菜を販売するコーナーを設ける。これが、現在の「マルショク 子飼店」であり、その中には今もヒライが入居している。
建物はリニューアルされているが、実に半世紀もの歴史がある。
おべんとうのヒライは熊本を中心に、佐賀・福岡・大分に至るまで、多くの店舗を持っている。それは、ロードサイド型の直営店舗と、スーパーなどのテナントに入居するテナント型店舗の2種類だ。
ロードサイド型の直営店舗は、コンビニ、デリ、イートインという3つの機能を持ち合わせた形態が特徴で、高知の「くいしんぼ如月」や函館の「ハセガワストア」などに近いスタイルだ。
2022年6月現在、直営店舗は熊本を中心に佐賀・福岡含めて83店舗、テナント型店舗は熊本を中心に佐賀・福岡・大分まで61店舗で運営されている。
マルショクはあくまでもスーパーなので、付近にあるロードサイドの直営店「おべんとうのヒライ浄行寺店」まで来てみた。
青空に映える「おべんとうのヒライ」の看板。
ごちそう広場 おべんとうのヒライ。
これほど分かりやすいサインもないだろう。
噂に聞くヒライ名物「ちくわサラダ」ののぼりが…!
店内は大きくとられた惣菜コーナーと、コンビニのようなパン・ドリンク・お菓子類のコーナーに分かれている。
惣菜はフライ物が充実している。
あっ、これは!!
「元祖 ちくわサラダ」!
これを1つ購入!
ちくわサラダのバリエーション版「大葉チーズ in ちくわサラダ」も並んでいる。
付加価値があるのにノーマルのちくわサラダと同じ値段だ。
冷凍のお弁当も販売されている。
惣菜コーナーのサラダたち。
野菜不足の現代人にはありがたいコーナーだ。
ネーミングがイカす「いなリッチ」(海の幸)。
いなりが3種類入っており、それぞれ「しらす」「海老」「ひじき」がトッピングされているという、まさにリッチなもの。
おっとこれは!?
「牛すじ肉の煮込み」と「豚ホルモンの煮込み」!
ホルモンが広く愛される熊本らしいセレクションだ。
そしてイートインコーナーのメニュー。
こちらも充実のラインナップだ。
人気メニューは「大江戸カツ丼」「山ちゃんラーメン」だという。
イートインコーナーといっても、専用のメニューを厨房で調理しているので、レストランと変わらない。
定食メニューもある。
お弁当をイートインコーナーで食べることもできる。
その場合、食券カードを持って行けばすぐに作ってくれるというのだからすごい。
今回は「自信南蛮弁当」をオーダー!
昼時という時間もあってか、店内は引っ切りなしにお客さんが来て、お会計には行列を作っていた。
地元での圧倒的な人気を感じる空間だ。
牛乳なども熊本の地のものが用意されている。
出来たてのお弁当をサクッと食べる幸せ
お会計を済ませ、温めてもらった「ちくわサラダ」をイートインコーナーに持ってきた。
「ヒライ」のテープがシンボリックだ。
OPEN the CHIKUWA SALAD!
そもそもさっきから、ちくわサラダって何?とお思いの方も多いだろう。
それは、大きめのちくわの中にポテトサラダが詰められ、そのまま揚げられて天ぷら衣をまとったという、ちくわの魔改造惣菜だ。
これがなかなか美味しいのである。
ポテトサラダとちくわを同時に食べると、味や噛み応えがそれぞれを補完し合うような不思議な感覚を感じる。
そこに、天ぷらならではの油の感じが加わって、一気にB級グルメらしくフィニッシュするのだ。
元々はヒライの厨房で、余った素材を組み合わせることで出来たものだという。
熊本では居酒屋でも提供されるというちくわサラダ。そのルーツは、ヒライにあった。
そしてこれが「自信南蛮弁当」!
チキン南蛮を「自信南蛮」と言い換えるネーミングに、味への自信が伺える。
しかし、チキン南蛮の本場九州で食べるチキン南蛮に、期待せずにはいられない。
やわらかい鶏モモ肉をフライしたものに、2種類のソースがかけられる。
甘酢ソースと、タルタルソースだ。
この2種類の組み合わせこそが、チキン南蛮のキャラクターを決定すると言っても過言ではない。
この2種類のソースの組み合わせ具合が絶妙で、しつこかったり、重かったりといった要素が全くない!
サクサクのモモ肉と共に、食欲が途切れることの無い味付けだ。
あっという間に食べ終わってしまった。
しかし、人気メニュー「大江戸カツ丼」「山ちゃんラーメン」をまだ食べていないので、次回のミッションとしよう。
熊本に根付いて半世紀以上。ソウルフードを超えて、もはや空気のように当たり前の存在となっている「おべんとうのヒライ」。
目指すところは、「食のインフラ」だという。
2018年の熊本地震の時も、市内の多くの店が休業する中、自ら被災しながらもいち早く営業を再開させたヒライ。
まさに水や空気と同じ、無くてはならないインフラだ。
お弁当の全国チェーンも多い中、確固たる地位を築いたヒライの凄さを感ずじにはいられなかった。