熊本で愛される老舗のうどん店、今に生きる
九州はうどん文化が根強いが、それは福岡・大分・宮崎という、どちらかと言えば東九州側。
長崎や熊本などの西九州側では、うどんの話はそれほど耳にしないのたが、ここ「三笠うどん」は熊本で生まれ、今なお熊本で愛されているうどんチェーン店だ。
1号店はもう無く、本店と名乗る店舗もないが、平成後期になってショッピングセンターのフードコートを中心とした出店戦略に舵を取り、その流れでの現時点での最古店がここ「ゆめタウンはません店」である。
熊本市南区にあるショッピングセンター「ゆめタウンはません」。
1998年に「クリスタルモールはません」として開業し、2003年に現在の「ゆめタウンはません」に改称された経緯を持つ。
このフードコートに、「三笠うどん」が入居している。
三笠うどん ゆめタウンはません店の様子。
創業昭和四十年という暖簾が、歴史の重みを感じさせてくれる。
無添加出汁 自家製麺。
味へのこだわりがありそうだ。
次々とお客さんが来て、途切れることのない人気店だ。
ファサードに掲示された、過去の店舗とおぼしき白黒写真。
昭和の雰囲気を感じさせてくれる。
出汁として使われている鰹のイメージ。
三笠うどんの出汁には、薩摩枕崎産の花かつおと、北海道産の一等級昆布を使用しているという。
それではオーダーしてみよう!
セルフスタイルの熊本うどん
「三笠うどん」は1965年、熊本の繁華街である下通センター一番街で創業した。
その後、1971年まで熊本県内に立て続けに店舗をオープンさせた。
1992年には和食レストランとして「味処三笠 南熊本店」を開店。ロードサイドの独立店として、うどん専業以外へと業種を拡げる。
そして2017年、新たにフードコート形態として、「三笠うどん ゆめタウンはません店」がオープン。それがこの店舗だ。
うどん専門の店舗としては1971年にオープンした三笠うどん 新世界開館地階店以来となり、ブランドのリニューアルと、原点に立ち戻ったスタイルを標榜した。
しかし2019年、味処三笠 南熊本店が閉店したため、ゆめタウンはません店が現状最古の店舗となった。
この後もショッピングセンターのフードコートへ続々と出店し、〝熊本うどん〟である三笠うどんブランドと共に復活を遂げている。
2022年7月現在、三陽フードクリエイト株式会社により、熊本県・大分県・福岡県に合計6店舗で運営されている。
三笠うどんのグランドメニュー。
さまざまな種類のうどんがラインナップしている。
三笠うどんは肉うどん推しのようだ。
それでは推しに従い、「肉うどん」1玉をオーダー!
昭和四十年創業の味、とのことで期待が高まる。
讃岐うどんのセルフ店のように、好きな天ぷらを取ることができる。
いも天は少し珍しいかも?
おにぎり、いなりなどもある。
博多うどんとは異なる、コシのある麺
これが「肉うどん」1玉!
まさに肉うどん以上の何物でもない、シンプルそのものなルックスだ。
たっぷりの牛肉がトッピングされている。
麺は意外にもコシがあり、讃岐うどんのような喉ごしを感じる。
モチモチとした中に、しっかりとした芯がある。
出汁はしっかりとした味わい。
鰹と昆布の合わせ出汁だ。
鰹は鹿児島の枕崎産のものだという。
化学調味料不使用ということで、優しい味わいが印象深い。
九州の中でもとりわけうどん店が多いわけではない熊本県で、歴史のあるローカルうどんチェーンが山笠うどんだ。
繁華街の中で創業し、ロードサイドの大型店の時代を経て、フードコートを中心とした出店と、ブランドの再構築・メニューのシンプル化。
山笠うどんは時代に合わせて形を変えつつ、化学調味料を使わない伝統の味を守り続けていた。