【トピック】食べログの点数について考えてみる

食べログは店舗がお金を払えば点数が上がる…?

渦中の食べログ、公式見解を発表 「評価操作」改めて否定…収束なるか

「うちの店、評価が3.8になって喜んでたら、次の日急に、クチコミ数は変わってないのに評価だけ3.6に下がってた。そしたら、食べログから電話きて、年会費払えば元に戻すし、評価上げるって言われた。もちろん断った。つまり評価3.6以上の店は食べログにお金払ってる」

こんなツイートをきっかけに、なんか食べログ界隈が騒がしい。

食べログの点数は、食べログにお金を払ったお店だけが3.6以上の点数になるのだというが急に広まっている。

この騒動に対して、カカクコムは、公式見解を発表。

飲食店向け有料サービスを含む食べログとの何らかのお取引によって、お店の点数やランキングが変動するということは一切ございません。飲食店向け有料サービスはあくまでお店からの情報発信機能を充実させ集客にお役立ていただくためのものであり、そのご利用の有無が、ユーザーの声を集約した点数・ランキングに影響を生じさせることは一切ございません。

店舗がお金を払うことで点数が上がるといったことは一切無いとのこと。

この話題について、実はかつて食べログ以前のスタンダードだった口コミグルメサイト「東京レストランガイド askU.com」のディレクターを3年ほどやっていた僕の当時の気持ちが騒いだので、見解を書いてみる。
※あくまでも個人見解です。

なつかしのアスクユー

(当時、食べログの猛烈な勢いにビジネス上で敗退した経験もよい経験…うっ)

まず結論として、お金を支払うことで食べログの点数を上げられるということはあり得ないと考える。

その理由は、そんなことをすると口コミの点数の意味が全く無くなってしまい、食べログというブランドの価値が暴落するからだ。
お金を支払って上がった点数なんて偽物の点数であり、そこには何の意味もない。

もし、お金を払って点数が上がるというビジネスをしているならば、とっくに知れ渡っているはず。
なんせ90万店舗も登録されているサイトである。それが新たに発覚したかのように今更ネットでバズるのは無理がある。つまりそんな事実は無いのであり、最初に告発したお店のアカウントは勘違い別件なのだろう。

食べログが公式見解を出したように、お金を払って点数を操作することは一切無いと考える。

店舗が食べログにお金を払うのは「食べログ店舗会員」

では店舗はどこにお金を払うのかと言えば、ジャンルやエリアで検索して店舗一覧を出した画面の上部に、「PR」枠としてその店舗を広告のように載せたり、そのお店の公式情報、公式写真を掲載するための広告費だ。

これは食べログ店舗会員といって、会員になった店舗の情報を、食べログがリッチに掲載してくれるという、ちょっとしたぐるなびのような機能だ。

公式見解でもあるように、

飲食店向け有料サービスはあくまでお店からの情報発信機能を充実させ集客にお役立ていただくためのもの

点数を加算させるために使われるものではない。

「3.6点の壁」の正体

では、食べログの点数の分布図を作った人がいるけれど、その図ではなぜ「3.6点」に集中していたのかについて考察。
(これも単なる考察なのであしからず)

お金を払えば3.6点を突破できるけど、お金を払わないお店が多いから3.6点止まりの店ばかりにっているのだということがまことしやかな噂になっているが、ここにこの騒動の本質があると考える。

まず、食べログの点数計算方法についてはブラックボックス化されており、その計算式は明かされていない。
おそらく、結構複雑な式だ。口コミサービスを成功させるための重要な企業秘密の一つである。

単純な平均値ではないことはもちろんのこと、公式で発表されているように、レビュワーの信頼度によって重み付けがされていて、レビュワーによってお店の点数に与えるインパクトが異なるというものだという。
これはかつてのaskU.comでも食べログ同様にユーザーの重み付けが考慮された複雑な式で、ディレクターの自分でもよく分からなかった。

つまり、2~3個くらいしかレビューを書いてないレビュワーと、200個や300個もレビューを書いているレビュワーとでは信頼度が違い、点数の扱い方が違うというロジックが組み込まれている。

なぜそんなことをするのかというと、自分の店の点数を上げたい一心から自作自演や友達に手伝ってもらったりして、「5点満点」のレビューを自分の店舗に付けるというサクラ行為が簡単にできてしまうからだ。

しかし、サクラ行為を機械的に断定することはできない。2~3個しかレビューを書いてないレビュワーの中には本物の初心者レビュワーもいるからだ。

なので重み付けをしており、サクラレビュワーや初心者レビュワーなどの信頼度の低いレビュワーがいくら5点を付けても、その上限は決められており、それがアルゴリズム上3.6点に収斂したのだと考える。

そして3.6点に点数が集中しているのは、信頼度の低いレビューが大量に集まった結果であると思われる。
食べログは、数件しかレビューを書かないユーザーばかりになっているのだろう。

お店にかかってきた電話とは…

で、最初に告発したお店が言ったという

「うちの店、評価が3.8になって喜んでたら、次の日急に、クチコミ数は変わってないのに評価だけ3.6に下がってた。そしたら、食べログから電話きて、年会費払えば元に戻すし、評価上げるって言われた。もちろん断った。つまり評価3.6以上の店は食べログにお金払ってる」

次の日急にクチコミ数は変わってないのに評価だけ3.6に下がってたについては、点数はシステムの夜間バッチで全店舗一気に計算し、翌日のある時間に反映されるためで、ユーザーの信頼度の変化によって、レビュー数は同一でも点数が変わることがある。

その後の電話の内容については、食べログ店舗会員の営業だろう。
その内容について、この店舗が言っていることと実際の店舗会員の特典の内容が食い違っており、事実関係があやふやなままツイートしたのだと考える。
もしかしたら、カカクコムとは全然関係の無い詐欺業者からの電話かも知れないが。

点数アルゴリズムは、食べログ側も改善したいと思ってるのではないか説

とはいえ、実際に3.6点の店舗ばかりになっているのは事実で、集合知としての自然な評価という観点から鑑みると、不自然極まりない。
これは食べログ側が当初想定した「信頼のおけるユーザー」と「信頼できないユーザー」の割合の想定が現実とズレてしまったことで、分布が偏ってしまったのではないか?と想像している。
点数の低いお店から高いお店までの点数分布は綺麗な山を描くと美しいが、そんなアルゴリズムを作り出すのは難しいのだろう。

個人的には、3.0点のお店でも最高のお店もあったし、3.8点のお店でもバッドバイブスのお店もあったので、食べログの点数についてはあくまでも参考としか捉えていない。むしろ点数の低いお店に「お宝」があるかも?と思っている。皆さんはいかがでしょう?

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