日本のハンバーガーのふるさと、佐世保で
日本で一番最初にハンバーガーが伝わったのは佐世保だと言われている。それは戦後、旧日本軍施設に進駐した米軍によって伝えられたものだ。
最初に佐世保バーガーを提供した店がどこかは不明だが、今も佐世保市内にいくつもある佐世保バーガー専門店のうち、老舗のひとつである「ビッグマン」。
その本店は、「佐世保 京町本店」である。
JRの佐世保駅から四ケ町アーケードを10分ほど歩いたところにあるビッグマン 佐世保 京町本店。
または単に、京町本店とも呼ばれる。
紅白ストライプのアーケードがレトロでかわいい。
象のシンボルマークが可愛い。
そういえばドムドムハンバーガーも象マークだ。
側面には、「元祖ベーコンエッグバーガー」の文字が。
今でこそハンバーガーレシピの代表格だが、日本のベーコンエッグバーガーはこのお店で生まれたものだ。
元祖ベーコンエッグバーガーのおいしさの秘密も掲示されている。
否が応でも刺激される食欲。
さあ、入ってみよう。
わずかなスペースで、ビッグなハンバーガーを
軍港のある佐世保は、戦後の進駐軍の時代から、多くのアメリカ海軍関係者で栄えた。
その中で伝えられたのが「ハンバーガー」である。
佐世保市内には老舗のハンガーガーショップがいくつも軒を連ねるが、その中のひとつが「ビッグマン」だ。
ビッグマンは、1970年に創業者である小倉豊氏によって創業した。
小倉氏は佐世保にて「らりるれろ」というハンバーガーショップを先に創業しており、ビッグマンは創業者自ららりるれろの味をアップデートした店舗としてスタートしている。
小倉氏は佐世保でハンバーガー店を出す前、神戸のパン屋である木村屋総本店で10年間従事したという経験がある。日本の外食時代の夜明け前の時代、「日本人はもっと肉を食べるようになる」と友人に言われたことから、出身地である佐世保に帰り、自分のパンの技術と共にハンバーガー店を始めたという。
しかし当時はまだ肉は高級品で、ベーコンもそれほど美味しいものではなかったため、自分で試行錯誤をして自家製ベーコンを作った。これが、ベーコンエッグバーガーの始まりだ。
ビッグマンという店名の由来は、小倉氏が見た映画のワンシーンで、ある男がフランクシナトラに言った一言「Hey bigman!」という言葉からインスピレーションを受けたのだという。
「Bigman」とは「大したやつだ!」という意味で、そうなりたい、大したお店にしたい、という意味を込めて、店名になった。
ビッグマンは2021年3月現在、長崎県内において3店舗で運営されている。
ちなみに今でこそ「佐世保バーガー」という言葉は有名になっているが、これは2000年代に入ってから呼ばれ始め、そして佐世保バーガーとして再定義された呼称だ。
入店すると、ハンバーガーが次々と調理されている様子を見ることができる。
佐世保バーガー事業協同組合による佐世保バーガー認定プレート。
佐世保ブランド保護のため、佐世保バーガーと名乗るには一定のルールやクオリティを保つ必要が設けられている。
アメリカ海軍より製法が伝わったハンバーガー。
日本のハンバーガーの歴史は佐世保から始まった。
ボリューム感のあるハンバーガーが並ぶ、ビッグマンのメニュー。
大満足の全部入り「スペシャルバーガー」も気になるところだが…
ここは本店の旅らしく、元祖の「ベーコンエッグバーガー」をオーダー!
ハンバーガーが伝わった地の、ベーコンエッグバーガーが生まれた店の本店で、ベーコンエッグバーガーを食べる。
こんな贅沢が他にあるだろうか。
ベーコンエッグバーガー、7つの秘密について解説されている。
上から少し押さえて、斜めにせず水平に保ったまま食べるのが佐世保流とのこと。
ボリューミーなのに柔らかく、肉々しいのにあっさり!
まずはペプシコーラを。
クラシックなバーガーには、やっぱりコーラが合う。
それもカロリー0ではなく、在来のタイプのを。
そして運ばれてきた、「ベーコンエッグバーガー」!!
これがベーコンエッグバーガーのオリジナルの姿だ。
そこにあるのは、決して奇をてらわないシンプルさ。
何か特別な素材や調味料があるわけではない。
でも、ここに何かを足すことも、ここから何かを引くことも、できない。
ここには、完璧な世界がある。
レタスの下には、厚みのある玉子。
そしてビッグマンオリジナルのマヨネーズ。
スモーキーなベーコンが、外にはみ出ている。
下には、肉汁滴るパティがある。
少し圧縮して、水平に保ったまま、ガブリと頬張る。
すると、フカフカのバンズの気持ちよさで、口の中が満たされる。
そして、フレッシュなレタスから、厚みのある玉子を超えれば、少し歯応えのあるベーコンに行き着く。
「これはしっかり噛まないといけない」
ベーコンは、そう感じさせる役目だ。
ベーコンの下にはパティ。肉を食っている、という印象を一手に引き受ける役目だ。
佐世保バーガーの草分け店のひとつ、ビッグマン。
その本店で食べるベーコンエッグバーガー。
古き良き佐世保の、古き良き舶来文化を今に伝える味。
昨今の派手なグルメバーガーとは一線を画するシンプルさ。
それでいて素材一つ一つが光り輝いている。
本物の佐世保バーガーを食べたくなったら、是非ビッグマンへ。