盛岡三大麺のひとつ「じゃじゃ麺」
盛岡三大麺とは「盛岡わんこそば」「盛岡冷麺」「盛岡じゃじゃ麺」のこと。
それぞれ、長年に渡って盛岡で愛されている麺料理だ。
そんな盛岡じゃじゃ麺の発祥店として知られるのがここ、「元祖じゃじゃ麺 白龍」(パイロン)。
発祥店である本店は盛岡の歓楽街、桜山にある。
桜山でも昭和の雰囲気を残す内丸五丁目は居酒屋が多く、昼でも賑わっているのは白龍くらいかも知れない。
レトロな外観が旅情を誘う。
白龍と書いて「ぱいろん」と読む。
チェーン店然としたお店ではないが、盛岡市内に4店舗で運営されている、アイコニックなお店だ。
盛岡じゃじゃ麺はここから始まっている。
それでは入店してみよう。
旧満州の麺料理を盛岡に持ち帰って改良!クセになる味わい
白龍の創業は1953年になる。創業者である高階貫勝(たかしな かんしょう)氏が戦前に旧満州で食べた「炸醤麺」(ジャージャー麺)の味に感動し、盛岡に引き揚げてから、味を独自にアレンジしたのが「盛岡じゃじゃ麺」の始まりだ。
当初は屋台で販売されていたが、その味が評判となり、店舗を設けることに。それがこの本店である。
じゃじゃ麺は長年にわたって改良が続けられ、今では盛岡を代表する麺料理の一つとなり、「盛岡わんこそば」「盛岡冷麺」とともに「盛岡じゃじゃ麺」の3つで盛岡三大麺として知られている。
なお、盛岡市は2023年のニューヨークタイムズ紙において、「2023年に行くべき52カ所」という特集でロンドンに次いで2番目に紹介されたこともあり、じゃじゃ麺が世界的な注目を浴びつつあると言ってもよいだろう。
2023年現在、盛岡市内を中心に4店舗で運営されている。
店内はこぢんまりとした広さだが、壁一面にじゃじゃ麺の食べ方や色紙などが敷き詰められている。
中には、初代店主の高階貫勝氏の写真も飾られている。
じゃじゃ麺のおいしい食べ方指南が貼られていた。
・まず初めに麺とみそをよくまぜて一口お召し上がり下 さい。
酢はさっぱり、にんにくは風味がまします。
ラー油は自家製で辛めなの で加減してかけて下さい。お好みで少しずつどうぞ。
・ちいたんたんは麺を一口残したところでなま卵を入れてよくかき混ぜて箸と一緒 にスタッフへ渡して下さい。
・ちいたんたんはゆで汁にお味噌が少し入っておりますので、よくかき混ぜてお召し上がり下さい。
味が薄いときは塩・コショウで味を整えてお好みで酢・ラー油・にんにく・お味噌の追加でどうぞ。
お味噌はつぼにございます。
じゃじゃ麺を食べた後で、ちいたんたんと呼ばれるスープを作ることが定番だ。
メニューは定番のじゃじゃ麺、ちいたんたん(じゃじゃ麺にプラスする)、ろうすう麺、冷やしつけ麺をメインに、餃子がラインナップ。
そこまで言われると、ちいたんたんを飲まずに帰るわけにいかないではないか。
とにかく混ぜろ、そして味変で激変!
10分ほど待ったところで運ばれてきた「じゃじゃ麺」!
これが盛岡じゃじゃ麺発祥の店の本店で食べる、正真正銘の盛岡じゃじゃ麺だ。
麺の上にはキュウリ、そしてドボッとした味噌がトッピングされている。
ははーん、こいつがじゃじゃ麺のコアな部分だな?
麺はうどんのようなもので、平麺だ。
薬味として生姜と紅生姜もスタンバイ!
さて、これからこいつを混ぜる必要があるのだが、うまくできるかな?
混ぜているところ。
皿があまり大きくないので、味噌を麺全体に行き渡らせるには少しコツがいる。
何度も混ぜて、味噌を均等にしていく。
混ぜおわり、食べてみると…味噌の少しスパイシーな風味が温かい麺に絡み、奥ゆかしい味わいを醸し出してくれる。
そこにキュウリが爽やかな感じを与えてくれる。
テーブルには味変用の食材が置かれている。手前にあるのはラー油。
ニンニクや酢などもある。
これらを加えることで、一気にパンチのある味へと変化する。
じゃじゃ麺は味変することで本領を発揮するのではないだろうか。
アフタースープ「ちいたんたん」も忘れずに
さて、テーブルの上には生卵が置かれている。
これは、「ちいたんたん」をオーダーした人が使えるもの。
まず、生卵を皿の上に割る。
そして厨房のスタッフに渡すと…
良い感じに調理してくれる!
これがちいたんたんだ。
スープに浮かぶ溶き卵。
おや、黒い塊があるぞ…?
じゃじゃ麺の味噌が、スープの中にも入っている!
これを混ぜることで…
スープに味が染み渡り、ちいたんたんの完成となる。
じゃじゃ麺のアフタースープとして、これ以上のものはないだろう。
盛岡じゃじゃ麺発祥の店、「白龍」。
歴史を感じさせる佇まいと、低価格ながらも奥の深い味わい。
味変で大きく変わる風味は、自分の好みにまで持って行ける。
そんな魅力を感じる白龍のじゃじゃ麺、まさに盛岡のソウルフードそのものだ。