桑名生まれの老舗うどん店
三重県桑名市で生まれ、桑名の名産であるはまぐりやうどんを長年にわたって提供するお店「歌行燈」。
その1号店であり本店は、桑名市にある。
桑名城の城下町の面影を残す街の、七里の渡し跡近くにあるレトロな風情を醸し出す建物。
ここが歌行燈の1号店であり、本店だ。
純和風といった佇まいが歴史を感じさせる。
「風流うどんそば料理」とある。
窓には「はまぐり」「釜あげ」「天丼」と、歌行燈を3言で言い表したらこうなるだろう的な木札が掲げられている。
本店から少し離れた所に駐車場があるが、昔はここに店舗があったのだという。
明治生まれの老舗、桑名の食文化と共に1世紀半
歌行燈の歴史は長い。
創業は1877年、明治10年に遡る。このブログで紹介している店舗の中でもトップクラスに歴史がある店舗だろう。
当時は、今の駐車場となっている場所で、「志満や」という名前でうどん店を創業したのが歌行燈の始まりだ。
桑名のこのあたりは伊勢路の入り口で、当時は桑名宿という宿場町でもあり、花街でもあった。
そのため、多くの料亭旅館があった。その名残はこの街を歩くとあちこちに残されている。
歌行燈という名前は、明治の文豪・泉鏡花が書いた小説「歌行燈」から採られている。
この小説は桑名を舞台にしていて、その中で出てくるうどん屋のモデルが「志満や」ということもあって、昭和に入ってから店名が「歌行燈」になった。
2020年11月現在、歌行燈は全国に11店舗で運営されている。
また、やじろべえ、横井製麺所なども歌行燈グループだ。
入店するとかなり古い舌代(メニュー表)が飾られている。
これは1953年のもので、おうどんは25円、カレーうどんは50円とのことだ。
こちらが現在の舌代。
「名物 歌行燈」と掘られたかぶら盆(桑名の工芸品)。
これ、実は「名作 歌行燈」と掘る予定だったのが、間違えて「名物」としてしまったために、急遽「歌行燈」というメニューを作った、というエピソードがあるそうだ。
入り口では各種のお土産も販売されている。
こちらはうどん。
こちらはお菓子など。
思いのほかリーズナブルな歌行燈のうどんセット!
これが歌行燈 本店のグランドメニュー。
1ページ目から推しメニュー「歌行燈」のセットが記載されている!
今回は「歌行燈 竹」をオーダー!
リーズナブルなのも嬉しい。
そして桑名名物の蛤料理も!
「蛤歌行燈御膳」これは次は食べてみたい逸品だ。
歌行燈では天丼も名物だ。
箸袋は歌行燈のシグネチャーモデルだ。
テーブルに置かれた「歌行燈の栞(しおり)」
歌行燈の栞では歌行燈の歴史、そして食べ方が指南されている。
桑名の歴史を感じながら食べる味は絶品
しばらくして運ばれてきた「歌行燈 竹」!
基本は釜揚げうどんと天ぷらのセットだ。
釜揚げうどん。
そして天ぷら。
特徴としては、うどんと天ぷらを同じつゆに浸して食べるというところ。
その食べ方として、これらの薬味を少しずつ使い、味変させていくのだ。
明治時代から日本人は味変を楽しんできたのだと思うとシンパシーがすごい。
ご飯は最終的にはお茶漬けにして食べるのもよし、と栞に書かれている。
歌行燈のセットだけでも、かなりの奥深さがある。
三重の桑名に創業し、1世紀半もの歴史を紡ぐ老舗、歌行燈。
その本店は当時の創業地にまだあり、リーズナブルな価格の料理や桑名名産である蛤料理を提供し続けている。まずその歴史に感服できる。
そして歌行燈はグループ店舗含めると、三重県や愛知県を中心に数多くの店舗を運営している。
明治初期に創業し、今に至っても人々の日常のグルメとして根付いている歌行燈。
そこには全く古くならない、普遍的な美味しさがあった。