ホワイト餃子、そのオリジナルの世界観
千葉を中心に首都圏で展開する餃子専門店「ホワイト餃子」。
その1号店であり本店は、野田にある野田本店だ。
東武野田線 愛宕駅から徒歩15分ほどの住宅地にあるここが、ホワイト餃子の野田本店である。
赤い看板が目立つ。
それ以上に…
モアイ像が建っており、道路を見下ろしているので、異様に目立っている。
「童心」と書かれたお地蔵さんまである。設立40周年で建てたのだという。
餃子屋にして、モアイにお地蔵さん… 既に独特の雰囲気が漂っている。
連日の売り切れ続出!?
持ち帰り用の生餃子を販売しているが、とっくに売り切れている。
ホワイト餃子 野田本店は朝9時から生餃子の販売開始だが、なんと9時には売り切れているのだ。
そして店内で餃子が食べられる時間は17時から19時半のみ、である。
いつでも食べられるわけではないのである。
では店内に入ってみよう。おっと、何やら注意書きのある看板が目に入った。
受付でご注文とお会計後に
御席に御案内致しております
(御座敷は有料です)
そ、そうですか。まず先に注文しろということだな。
レトロで雰囲気満点の店内
店内はレトロな雰囲気、というか本物のレトロの空気が充満しており、これが平成も終わろうとしている年の写真とは思えない。
奥のカウンターで、注文の受付を開始したということで、お客さんが一斉に並び始めているところである。
ここホワイト餃子は、1960年に創業した餃子専門店である。
創業者である水谷信一氏は、満州で白(パイ)という中国人から餃子作りを教わったのだという。
戦後日本へ引き揚げて、「パイ餃子」という名前で餃子店を開こうとしたが、「パイ」だと少し味気ないので、英語である「ホワイト」にして「ホワイト餃子」として創業したのだとか。
2018年7月現在、関東を中心に、北海道や近畿・中部・中国・九州地方にまで、25店舗で運営されている。
ホワイト餃子は、値段もメニューもそのままの「支店」とは別に、その土地に合わせてメニューや値段の変更が許された「技術連鎖店」という形式の店もある所が支店の特徴である。
ホワイト餃子 創業者である水谷信一氏夫妻の写真が飾られているのが、まさに本店だ。
メニューは餃子とお漬物だけ
ホワイト餃子 野田本店のメニューは、「焼餃子」と「お漬物」しかない。あとは飲み物だ。
ご飯すら無い、硬派な餃子専門店である。
1階はテーブル席と座敷席、2階は座敷席となり、座敷席は複数人数で座って使う。
座敷席を使う場合、別料金がかかり、時間制限もある。
この日は休日で、2階席は混んでいるのか、大人4人以上での使用に制限されていた。
1階の座敷席はこんな雰囲気だ。風情がありまくる…!
扉の上には水谷信一氏が受賞した数々の表彰状が飾られている。
厨房はこのような感じである。
職人達により、黙々と餃子が量産されている。
この巨大な餃子グリラーは、一度に365個もの餃子が焼けるのだという。
カウンターの奥の壁にはタイルアートがある。
横に置いてあった、テイクアウト用の餃子のタレ。大量にある。
まだまだ注文の列は続いている。
でも、大半の人が2階や1階の座敷席についたようだ。
持ち帰りの場合は一人300個以内!とのこと。300個て!
マナーはしっかり守る、それが餃子道
何だかたくさん書かれた注意書き。主にマナーについて書かれている。
ここ野田本店は全体的に注意書き等が多くて、やや神経質な雰囲気もある。
そもそもオーダーの方法が独特なのだ。
先に注文してお金を払い、テーブルを指定されたら、そこに座る。
そして待っていると運んでくれるのだ。
なお、餃子の追加注文は許されない。
カウンターにて注文する番になった。ここで注文するのは「餃子の個数」と「お漬物」(必要な場合)と「飲み物」のみ。
餃子は10個単位でのみ注文でき、1人前が10個となる。
注文をしてお金を払うと、テーブルの番号を指定される。
そして、スタッフのお姉さんに、「お客様をテーブルまでお連れして!」と女将さんが叫び、テーブルまで案内されるのだ。
ホワイト餃子 野田本店にはこのように独特のグルーヴ感があるが、このグルーヴ感を最も醸し出しているのは…
ファンキーな女将さんのグルーヴ感が最高!
女将さんである。
ステージ衣装のようなキラキラのスパンコールの服を身につけ、やたら良い手際で、次々とお客さんの相手をしていく。時おりギャグやツッコミを挟みながらだ。
スタッフへの指示も的確で素早く、無駄が無い。
まさにホワイト餃子 野田本店の店を回しているエンジンのようなエネルギッシュさ…!
この女将さんは昔から野田本店では「名物女将さん」「名物おばちゃん」などと呼ばれている方であるという。
飲み物として(車だったのでビールではなく)「オレンジジュース」を注文したところ…
「オレンジジュース! 甘いよ? 甘いけどいいの? 甘いから、水、サービスしましょ」
と、水をサービスしてもらった。
水くらい普通…と思うところを、そんな風に言われると何だか嬉しい気分になれる。
なお、お札を手に持っているが、別のお客さんのお会計時後に写真を撮らせてもらった時にたまたま手にお札を持っていて、「じゃあお札も一緒に撮って!」と言われたのでこういう写真になった。いくら名物女将さんとはいえ普段からお札を裸で持ち歩いているわけではない。
そういったグルーヴ感も含めてホワイト餃子 野田本店なのだろう。
そして先にテーブルに運ばれてきたオレンジジュースは、リボンオレンジ!
なんとレトロなチョイス。そしてバヤリース系の激甘オレンジドリンクである。
女将さんが「甘いよ」と言っていたのも納得がいく。
いや、でも、数少ないドリンクのラインナップの一つに君臨し続けてるのだから、餃子と合わせて飲むのもスタイルだろう…!?
それとも子供向けと割り切られているのかな…?
テーブルの上には「醤油」「酢」「ラー油」の餃子のタレ作成基本セットに、七味。
ホワイト餃子の焼餃子は、ホワイト餃子だけのスタイル
そして運ばれてきた「焼餃子」!!
いわゆる、これまで食べてきた焼餃子とは、見た目が全然違うわけです。
おいなりさんのような、まんじゅうのような。
反対側から見ると、ちゃんと餃子っぽいですね。
外の皮は結構厚く、それをカリッと食べると、中には空洞が現れ、餃子の薬味が出現する。
そう、この餃子は風船のように空気を閉じ込めているのだ。
この空洞をペシャッとしながらよく噛んで食べる、まさにホワイト餃子にしかない独特の焼餃子のスタイルだ。
1人前は10個であり、人によっては30個も40個も食べるというが、この10個でも結構なボリュームがあり、主食たりえるくらいである。
しかしながらアツアツで、食べた時の空気が抜けるような独特の食感は癖になる。
千葉県の野田を発祥として広く人気となっているホワイト餃子。
創業から2018年現在で58年経った今も、行列が絶えない。
まさに千葉のソウルフードであった。
食べ終わった所を、またモアイ像が見守ってくれていた。