きみは「ざぼんの里」を知っているか?
鹿児島ラーメンを代表する老舗、「ざぼんラーメン」。
1946年に「天文館食堂」の名でオープンしたざぼんラーメンは、与次郎の「ざぼんの里」にある「与次郎店」を本店としている。
鹿児島市与次郎。
ピラミッド型の建物が2つ並ぶ、独特な景観の「ざぼんの里」。
ここは、ざぼんラーメンを核にした飲食店の集合体だ。
向かって左側にあるのは「ざぼんの茶屋」と称したレストラン。洋食・和食が中心の構成となっているが、ざぼんラーメンを注文することもできる。
奥にあるのは「麺処ざぼん」と称した中華レストラン。炒飯や餃子といった中華の定番メニューが取り揃えられているが、ざぼんラーメンを注文することもできる。
手前右側にあるのがラーメン専門店「ざぼんラーメン」。もちろん、ざぼんラーメンを注文することができる他、チャーシューメンや餃子もラインナップしている。
結局どこに入ってもざぼんラーメンを注文することができるのだが、今回はざぼんラーメンに入店。
戦後すぐから今に至るまで、鹿児島で愛される定番の味
ざぼんラーメンは、そのルーツを1946年に天文館で創業した「天文館食堂」に持ち、そして1952年に西鹿児島駅(現在の鹿児島中央駅)の構内にオープンさせた「西鹿児島駅構内食堂」を創業年とする、鹿児島でも特に老舗的な飲食店だ。
「ざぼん」という名は創業者の下原シケ氏が女学校へ通っていた当時、夏休みの宿題帳に「ざぼんの里」と名付けたことが由来なのだという。
そもそも「ざぼん」とは何かというと、果物の「文旦」(ぶんたん)が訛ったものだといわれているが、ざぼんラーメンは文旦とは関係無いらしい。
豚骨ラーメンの文化圏である九州において、最南端の鹿児島の老舗、ざぼんラーメン。
2019年5月現在、鹿児島県内で7店舗で運営されている。
ここ与次郎店で作られたスープが、スカイロード溝辺店以外のざぼんラーメン各店舗に配送されているのだとか。
なお、東京にあるカタカナ書きでの「ザボン」というラーメン店とは、全く無関係だ。
与次郎店の店内の様子。レトロで統一感のある雰囲気が心地よい。
カウンター席とテーブル席、それぞれ豊富に用意されている。
座敷席も用意されている。
1952年創業の、鹿児島を代表するラーメンだ。
ざぼんラーメンのメニュー。
ここは前金制で、注文と同時に会計を済ませるシステムとなっている。
「ざぼんラーメン」単体をオーダー。
スープは混ぜる!そして桜島大根も食べる!
テーブルの上の調味料。
ぎょうざのタレ、ラー油、コショウ、塩、七味と、一通り取り揃えられている。
また、「当店のラーメンは底よりよく混ぜてお召し上がりください。」とあるように、ざぼんラーメンのスープは底に秘伝のタレが沈んでいるため、スープをシャッフルしてから食べるのが流儀だ。
鹿児島のラーメン店なら必ずあるのはこれ「桜島大根漬」!
その名の通り桜島大根を漬物にしたもので、淡泊かつあっさりとした味わいが、とんこつのスープにベストマッチする。
こちらは刻みニンニク。途中で入れて、味の変化を楽しもう。
割り箸はざぼんラーメンのシグネチャーモデルだ。
そして運ばれてきた「ざぼんラーメン」!!
どこかレトロな雰囲気を纏った豚骨ラーメンだ。
ガッツリとトッピングされたチャーシューが、中央に鎮座する。
きくらげも豊富にトッピングされている。
そしてキャベツやもやしまであるのが、ざぼん流だ。
豚骨醤油のスープはあっさり目で、プレーンの味わいだ。
前述の通り、底にある秘伝のタレとよく混ぜて食べるのが、ざぼんラーメンの食べ方である。
このシンプルなスープだからこそ、秘伝のタレや刻みニンニクとの味のハーモニーが楽しめるというもの。
キャベツとスープを同時に味わうと、ちゃんぽんのような雰囲気すら感じることが出来る。
麺は中太麺で、こちらも少しちゃんぽんのような雰囲気を感じさせる。
鹿児島で長い歴史を持つ老舗、ざぼんラーメン。
鹿児島中央駅のナウなスポットであるアミュプラザ鹿児島でも、地元の人はもちろん、九州新幹線で鹿児島に来た旅人を楽しませるその味はどこか懐かしく、博多や久留米の豚骨ラーメンとは全く違う、まさに鹿児島ラーメンといったスタイルの豚骨ラーメンであった。