実はもう一つの「うどん県」こと、宮崎県
宮崎の食べ物と言えばチキン南蛮を思い浮かべることが多いが、うどんもまた宮崎を代表する食べ物である。数多くのうどん屋が宮崎県内には存在する。
そんな長い歴史のある宮崎うどんの中で、チェーン展開している店舗のひとつが「きっちょううどん」だ。
※2024年2月、閉店しました。
きっちょううどんは、株式会社きっちょうにより宮崎県内を中心に運営されているうどん・そばのチェーン店である。
その1号店である清武店は2005年に開業した。
ルーツをさかのぼると…?
しかしながら、きっちょううどんは宮崎うどんの長い歴史の流れにある。
そのルーツは古く、奥野豊吉氏が、大分に旅行に行った時に食べたうどんを宮崎でも提供しようと、1932年、50歳にして宮崎市に創業した「三角茶屋」という店をルーツとする。
その後「三角茶屋」とは別に、お妾さんに経営を任せた「豊吉うどん」もあった。
噂では、秘伝の出汁の作り方はお妾さんに受け継がれたのだとか。
奥野氏が1979年に97歳で死去した後、「豊吉うどん」と「三角茶屋」は隣接し、道路拡張などもあり、近所で細かく移転を繰り返すことになる。そんな中で、「三角茶屋」は「豊吉うどん」の場所に移転し、「豊吉うどん」を追い払ってしまうが、「豊吉うどん」は新たに路地を挟んだ西側に「吉長うどん」と名前を変えて出店した。
この「きっちょううどん」は、かつて「吉長うどん」で修行した方が2005年に新たに創業した店舗であり、名前の読み方こそインスパイアしているが、「吉長うどん」とは直接の関係は無い。
また、諸事情により元の「吉長うどん」は「おくのうどん」と名称変更し、現在も営業を続け、連日行列の人気店となっている。
ルーツに紆余曲折はあるが、「きっちょううどん」は2005年創業の割と新しい宮崎うどんのチェーンであり、その味は宮崎うどんの伝統に基づいている、と捉えるのが良いだろう。
現在、宮崎県内を中心に9店舗で展開している。
広くてゆったりとした店内で宮崎のうどんを楽しもう
2005年に開業した1号店である清武店の店内は広い。雰囲気は香川のセルフの讃岐うどん店のようだ。
清武店のお持ち帰りの人気No.1はえびうどんだそう。
宮崎るるぶによると人気No.1はスペシャルうどん・そばだそう。
迫力のあるメニュー構成。
ほとんどが500円以内でリーズナブルだ。
きっちょううどんは無添加であり、化学調味料などは一切使っていないのだという。
にぎやかな絵も飾られている。
天ぷらなどもあるが、それほど種類があるわけではない。
きっちょううどんで、たぬきうどんを注文
注文したら、ササっと湯がいてくれる。
これが「きっちょううどん」の「たぬきうどん」である。
細かい天かすが特徴的だ。
この天かすは2日間寝かせた秘伝ものだという。
麺はやや細め。一般的な讃岐うどんより一回り細いが、稲庭うどんほど細くは無い。
箸で掬ってみてすぐに分かるのは、全くコシが無いということ。掬ってる途中で、ブツブツと切れて落ちる。
讃岐うどんとは正反対のこのコシの無さは九州うどんの特徴であり、宮崎うどんもまたそのスタイルである。
口に入れてみると、その柔らかさが何とも優しい。
そして、出汁の美味しさが絶品だ。
愛媛産のいりこと、利尻昆布をミックスして作られているのだという。
このうどんを食べた時は、「おぐら」でチキン南蛮を完食した直後であったが、この出汁の美味さにやられ、あっという間に飲み欲してしまった。
伝統の宮崎うどんをカジュアルに食べられるチェーン店「きっちょううどん」。無添加ならではの優しい出汁が強く印象に残った。