三角茶屋 豊吉うどん 本店

三角屋根の三角茶屋

うどん文化が華やかな宮崎。その中でも、戦前に創業した老舗がここ「三角茶屋 豊吉うどん」だ。
本店は、宮崎市大坪にある。

三角茶屋 豊吉うどん本店。三角茶屋の名を思わせる三角屋根がポイントだ。

百才 豊吉うどん とある。
これは、創業者の故・奥野豊吉氏がこの地に本店を作る際、「100歳までうどんを作りたい」と願って、三角茶屋を「百才 豊吉うどん」と命名したことが由来だ。

看板には「三角茶屋 豊吉うどん」とある。

それでは入店してみよう。

宮崎うどん界のオリジネイター

三角茶屋 豊吉うどんの歴史は長い。
創業は1932年。創業者の故・奥野豊吉氏によって、宮崎市中村町にて創業した「三角茶屋」がそのルーツとなっている。
その当時、奥野氏はすでに50歳だったという。

奥野氏のうどんへのこだわりは強く、満足の行く味を求めて遠くまで材料を仕入れに行くことも日常茶飯事だっという。
創業当初から「はやい・安い・うまい」をモットーにしており、現在でも低価格で提供されている。

三角茶屋として創業したお店とは別に、「豊吉うどん」という店舗もあった。
そちらは奥野氏の息が掛かっていながらも別々の店舗だったが、長い歴史の中で紆余曲折があったのか、「三角茶屋 豊吉うどん」となって現在に至る。
そして豊吉うどんの方は「吉長うどん」として営業をするが、後に現在の「おくのうどん」へと名称が変更される。
なお、三角茶屋 豊吉うどん本店おくのうどんは隣接しているのが、宮崎うどんの長い歴史を感じさせてくれる。

三角茶屋 豊吉うどんは2022年12月現在、宮崎市内を中心に8店舗で運営されている。

本店の店内は広い。
傾斜した天井が印象的だ。

座敷席もある。

入口に掲示されたメニュー表。それぞれの写真入りなので分かりやすい。

ちなみに「天玉かうどん」「天」じゃこ天「玉」生卵「か」天かすのことを指している。
宮崎うどん独特の言い回しだ。

まずはここでオーダーして、先に代金を支払う。
そして自分で席に持って行くというセルフスタイルだ。

冷やしうどんや朝うどんセットもある。
朝はなんと6時からオープン!

カウンター上部にもメニューがある。
ほとんどのメニューが500円以内という価格なのが嬉しい。

創業者である奥野氏のストーリーが掲げられている。

 

『豊吉うどん』創業者 初代、故・奥野豊吉。
明治17年、武士の家に生まれながらも、幼少時代に身内 を亡くし、母から伝えられた言葉を胸に『自分の力で一生 懸命働きながら生きていく』と決心。
その生涯を仕事にかけるとともに、支えてくれる人々への感謝も忘れず、昭和7年、50歳にして前身『三角茶屋』を宮崎市中村町で 開店。
豊吉自身、うどん好きという事もあって、わざわざ 遠方まで材料を仕入れに行くなど、そのこだわりは並々な らぬものがあり、当時から” 安くて美味しくて盛りがいい” と地元でも評判のその味は、作家・川端康成や、壇一雄など も「旨い」 と言わしめたほど。
また、そんな宮崎の人々に 愛される味を守り、後世に残したいというのも豊吉の意志 でしたが、結婚後、 神戸より帰郷した一人息子は、残念なが ら戦地に召集され戦死。
しかし、そんな深い悲しみのなか にありながらも、うどんにかける夢とこだわりは忘れず、その意志は孫である二代目 千枝子へと引き継がれます。

そして昭和50年、「100歳までうどん店をやりたい」と、現在 の場所である大坪町に新たに開店したのが『百才 ・ 豊吉う どん』。
以来、 豊吉は、97歳でこの世を去る直前までレジ に立ち働き続けるほど、仕事にかける情熱と人情味あふれ る人物でした。

今でも三代目となる曾孫の和一郎により、 豊吉の味と情熱 は受け継がれており、創業から今も変わらず、鉄釜にて麺 を茹で、ダシや素材に関しても自然の味を大切にした製造 方法は、頑固で厳しかった豊吉の意志をそのまま反映する ものです。
「できるだけ多くの人に食べてもらいたい」と現在でも 一杯180円 (かけうどん) で提供し続けているのも、豊吉の 人情味が生きている証拠。「お客さまの“安くて美味しい” という声はなによりも私たちの喜び」というポリシーは、地元に根ざし、お客さまに感謝するうどん店として、今も息づいているのです。

シンプルな構成なのに、奥深い出汁の味!

席に着く間もなく呼び出される。早い!

今回オーダーしたのは「肉」「ごぼう」をトッピングしたもの!

ごぼうは福岡うどんのようなタイプではなく、ごぼうのかき揚げだ。

盛られた青ネギがうれしい!

ごぼうだけのかき揚げは、ハード目の噛み心地だ。
福岡うどんのこぼう天とは全くの別物ながら、ごぼうの風味をしっかりと感じられる。

麺は讃岐のような太さがあり、宮崎うどんの中では比較的コシのあるタイプだ。少なくともヤワヤワ麺ではない。

イリコと昆布がブレンドされた出汁がさっぱりと美味しく、うどんに絡ませて食べると口の中に香ばしい風味が広がる。
これだけシンプルな味付けだと、朝うどんとしても最適そうだ。

宮崎うどん界の老舗、三角茶屋 豊吉うどん。
奥野豊吉氏が作りあげた味を今に受け継ぐ、まさに宮崎うどん界のスタンダードといえる存在だ。

その本店は堂々とした佇まいで、来る客を迎えている。

三角茶屋 豊吉うどんの地図

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