日本におけるフランスパンの草分け
「スクラッチ」と呼ばれる手間暇掛かる方法でパンを焼き続けるベーカリー「DONQ」。
その本店は、神戸・三宮のセンター街にある「三宮本店」だ。
DONQの創業は1947年。そしてこの三宮本店のオープンは1951年とのことだが、そのルーツはさらに遡り、1905年、創業者である藤井元治郎氏が現在のJR兵庫駅近くに「藤井パン」を開店したのがルーツとなる。
DONQ三宮本店が開店してから数年後、「パンの神様」と呼ばれるレイモン・カルヴェル氏が来日し、本場のパンの技術を日本に伝えたところ、藤井元治郎氏の孫でありDONQの創業者である藤井幸男氏が感銘を受け、日々パンの研究を続けたのだという。
そしてレイモン・カルヴェル氏の弟子であるフィリップ・ビゴ氏をDONQの技術指導員として、この三宮本店に招致。ビゴ氏はフランスパンをはじめ、あらゆるパンの技術をこのDONQ三宮本店に伝えた。
日本におけるフランスパン普及の歴史はここから始まったと言っても過言ではない。
そして1960年代後半にはDONQは東京の青山に進出し、「フランスパンブーム」を巻き起こした。
DONQは1970年の大阪万博にも出店し、大きな人気を集めたという。
ここで初めてフランスパンを口にした日本人も多かったのではないだろうか。
日本におけるフランスパンの歴史において、２人の重要なフランス人パン職人と、DONQ。
その歴史的な本店は、今日も多くのパン好きに親しまれている。
DONQ 三宮本店の２階と３階は直営のカフェとなっている。