全国区になった讃岐うどん専門店
今や日本を代表する讃岐うどんのチェーンといえば、「丸亀製麺」だ。
丸亀製麺の1号店は、兵庫県の加古川市にある「加古川店」である。
JR西日本の加古川駅。丸亀製麺 加古川店はここから少し離れた所にある。
昼時ということもあって、長い行列ができていた。
釜揚げうどん専門店と大きく書かれたこの看板が、丸亀製麺の1号店 加古川店だ。
2020年11月に内外装がリニューアルされた。
こちらが以前の看板。
「釜揚げうどん専門店」の文字は立体的な加工になっていた。
面白いのは、「専門店」の「専」の字に注目して頂きたい。
以前は「専」の右上に点が付いていたが、ある時期から点が無くなったところ。
漢字としては点がない方が正しいが、当初はなぜ点があったかなどの理由は不明だ。
そしてこの看板をよく見ると、以前は「ぶっかけうどん」と書かれていたことが分かる。
今では「釜揚げうどん」というキャッチコピーだが、初期は「ぶっかけうどん 丸亀製麺」だった名残りだ。
設置されている自販機も丸亀製麺のシグネチャーモデルだ。
丸亀だけど兵庫県加古川生まれ
2020年11月のリニューアルで新たに設置されたのは、「丸亀製麺 創業店」と書かれた看板。
平成12年11月開店とある。もちろん1号店はここ、加古川店だ。
丸亀製麺なので香川県の丸亀にあるのではないのか?と思われがちだが兵庫県である。
その理由は、讃岐うどんの聖地である「丸亀」の持つイメージと、トリドールの創業者・社長である粟田貴也氏の実父が隣の坂出市の出身であり、丸亀と縁が深かったということから、丸亀製麺という名前を名乗っているという。
2011年には、丸亀という名前を全国そして世界に広めたことが香川県丸亀市より評価され、代表である粟田氏は丸亀市の「文化観光大使」に任命されている。
丸亀製麺は株式会社トリドールによって創業され、2000年11月に1号店である加古川店がオープンした。
時代は第四次讃岐うどんブーム直前。2002年にはなまるうどんが渋谷にオープンし、連日長蛇の行列を作ったところから第四次讃岐うどんブームが勃発し、はなまるうどんと丸亀製麺は競うように成長していく。
丸亀製麺は当初より店内製麺にこだわり、チェーン店でありながらチェーン店らしくないオペレーション、そして見せる厨房が斬新で、瞬く間に全国的に店舗数を増やしていく。
2020年8月度のトリドール社のIR資料によると、丸亀製麺の国内店舗数は849店舗となっている。
店内で粉から製麺する、丸亀製麺のスタイル
入店すると、厨房をぐるっと囲むように通路が配置されてい
る。その通路には小麦粉が積まれている。
そして店内製粉をしている様子を間近で見せてくれるのだ。
丸亀製麺はこのような見せる厨房によって、讃岐うどんのダイナミックさを感じさせてくれる。そして店内に充満する出汁の香りと合わせて、食欲がどんどん刺激されるのだ。
お昼時ということもあり、戦場のような厨房の様子。
もの凄いスピードで讃岐うどんが作られていく。
こちらが丸亀製麺のメニュー。
2012年訪問時のメニューと比較しても、ベーシックな釜玉うどん、かけうどんなどは低価格のままで、ほとんど値上げをしていない。
今回はベーシックな「かけうどん」の並をオーダー!
目の前で湯がかれたうどんが、ヌードルセッターで湯切りされ……
すぐに目の前に運ばれてくる。
このスピード感は本当に気持ちいい。
加古川店の天ぷらコーナー。
ジャンボカニカマが異様にジャンボだ!
丸亀製麺では天ぷらのサクサク感にこだわるため、作り置きを極力しないのだという。そのため天ぷらのストックは少なめとなっている。
肉うどんはオーダーしてから目の前で肉を炒めてくれる。
どこまでも見せることにこだわる、丸亀製麺ならではだ。
今は創業20周年の記念として、加古川店のスタッフさんが考えたという20周年記念セットも用意されている。
かなりお得なセットばかりだ。
趣があり、ゆとりのある店内が落ち着く
店内はゆったりとした余裕のある作りで、落ち着いて食べることができそうだ。
そしてどこか、懐かしい趣がある。
丸亀製麺のレストランポエムもある。
釜揚げどん
湯の煙たちのぼる大釜に
うちたて生麺とうずれば
六輪の花咲くように舞い踊る
差し水にうなずくように戯れば
あとは釜揚げ待つばかり
丸亀製麺の歴史年表が登場
2020年11月のリニューアルで一番の目玉は、店内に大きく掲げられた丸亀製麺の年表だろう。
壁一面に貼られた年表が、ここが1号店であることを強く物語っている。
丸亀製麺が加古川で創業した2000年から始まっている。
まさにこの店だ。
2003年のショッピングセンターの写真では「ぶっかけうどん」と書かれた看板が目に入る。
今では見られないコピーだ。
2000年台後半は、破竹の勢いで店舗数を増やしていった頃だ。
注目すべきは2007年の香川県初出店の写真。
これはイオンモール高松店だが、暖簾に「亀坂製麺」とあるところ。
これは、現地に先に「丸亀製麺」という製麺所があったため、ショッピングセンターのディベロッパーから名称変更の依頼があったため、と言われている。
2012年には現在に続く「丸亀製麺」という店名に変更された。
2011年には香川県丸亀市からトリドール社代表の粟田氏が「文化観光大使」に任命されるなど、丸亀市とは良好な関係を築いているという。
2010年以降は海外への出店を加速させていく。
そして麺の味を向上させるため、一定以上の技能を持った職人を「麺職人」として各店舗を啓蒙する制度も始まった。
大きく「加古川 本店」とある。
創業店を本店とする、丸亀製麺のスタンスの表明だ。
独特のコシが堪能できる本格的な讃岐うどん
これが丸亀製麺 1号店 加古川店の「かけうどん並」、天ぷらとしてジャンボカニカマ・半熟玉子・イカ・かしわだ。
ねぎはセルフでトッピングする。
ボリューミーな天ぷら。
かしわはジューシーで、唐揚げ専門店に劣らぬクオリティだ。
半熟玉子。中はトロトロである。
このはみ出てるのは、ジャンボカニカマ。
ジャンボという名前に嘘はない。というかかなりデカい!
イカの食感も抜群だ。
テーブルには丸亀製麺オリジナルの調味料が置かれている。
そしてかけうどん。
小麦には北海道産の「きたほなみ」を使い、コシの強さと共に、弾力性に富む味わいが楽しめる。
創業20年を超え、日本の讃岐うどんチェーン店を代表する存在となった丸亀製麺。
チェーン店でありながら店内製麺など店内で作る部分が多く、多くの手間が掛かっているという。
讃岐うどんは繊細で、少しの違いが味や喉ごしに出てしまうという。
それでも店内製麺を続けることが丸亀製麺創業時からの価値であり、品質のばらつきを抑えるために導入された麺職人制度。
チェーン店にして個人店のような丸亀製麺は、これからも讃岐うどんをもっと手軽に、そして本格的にしてくれるだろう。
創業20周年で、加古川店で配布されたチラシ。