静岡〝粉モン〟シーンの古株
静岡のB級グルメチェーンとして、長い歴史を誇る「ホロタチェーン」。
富士宮焼きそばやたこ焼きを駄菓子のようなカジュアルさで楽しめる同店の「本店」は、富士宮市の富士見ヶ丘にある。
富士見ヶ丘の住宅地の中に佇むホロタチェーンの本店は、ホロタチェーンの本部であり工場の敷地内にある、小さな店舗だった。
株式会社ホロタの看板があるように、ここが本部だ。
奥の敷地にはホロタチェーン本部の社屋などがある。
表には目立つ看板が。
「富士宮イカ入りやきそば」「マヨタコ」「たこ焼」「お好み焼き」が推しだ。
駄菓子のように気軽に食べるスタンスが伝統
ホロタチェーン本部の店舗の様子。ここにある鉄板で焼きそばなどが作られている。
ホロタチェーンは、1973年に富士宮で創業したテイクアウト専門のチェーン店で、主にスーパーやショッピングセンターのテナントとして入居するスタイルを取っている。この本店は1号店というわけではなく、いくつかの店舗が閉店した後に近年作られた店舗だ。
富士宮には、「富士宮やきそば」を標榜する専門店が多い。
それは2000年以降、「富士宮やきそば学会」が店舗を認定するといった形でPRされ、「富士宮やきそば」として全国区の知名度を得た。
しかし、富士宮の人々は焼きそばは自宅で作ることが多く、富士宮やきそばの専門店に出向くことはあまりないのだという。
それはおそらく、京料理の店に京都の地元民があまり行かないのと同じかも知れない。
そんな中、ホロタチェーンは地元の人に愛される店として、半世紀近くも独特の立ち位置を築いている。
買い物のついでに買う、おやつのように食べる存在。
本当の意味でのローカルソウルフードらしさがここにある。
2020年11月現在、静岡県を中心に9店舗で展開されている。
本店には小さなイートインスペースが設けられており、そこでは出来たての焼きそばなどを食べることができる。
これはイートインスペースにあったホロタチェーン本店のメニュー表。
かなりの低価格となっており、ちょっとしたお菓子のように楽しめそうだ。
「マヨタコ」はホロタチェーンの創作メニューで、たこ焼きの中にたことマヨネーズが入っている。
これも人気のメニューだ。
今回は「焼きそば」をオーダー!
イカ入りとのことで、楽しみだ。
オーダーすると、まさに職人といった感じのスムースなヘラさばきで、スピーディに作ってくれる。
見ているだけで楽しい。
そしてあっという間に出来上がる。
〝富士宮やきそば〟とは一線を画する富士宮やきそば
そしてアツアツの焼きそばが手渡される。
紛うことなき、富士宮で食べる焼きそばだ!
麺は富士宮やきそばの店舗で多く使われている、富士宮地元の「マルモ食品」のもの。
そして特徴なのはドロッとこってり気味のソース。
これはホロタのオリジナルのソースとのことで、この焼きそばのキャラクターとなっている。
「富士宮やきそば学会」が認定する店舗で提供される富士宮やきそばの多くには肉カスが入っているが、ホロタの焼きそばにはそれが入っておらず、具材はキャベツとイカがメインとなっている。
どこか、富士宮やきそばの原型を食べているような、そんな気持ちにさせてくれる。
それもそのはず、ホロタチェーンは1973年創業の老舗で、その当時は〝富士宮やきそば〟なんて商標は生まれていないのだ。
そして当時のスタイルを保ち続けるホロタチェーンは、今でも富士宮やきそば学会系の店舗とは一線を画している。
独自の立ち位置を保ち続けるホロタチェーン。
地元に長く愛され続けているのは、昔ながらの飾らない味を守り抜いているからかも知れない。