相鉄沿線にあるそば屋さん
鉄道会社はグループ内に外食部門を設けていることが多く、特に駅ですぐに食べられるような立ち食いそばのチェーンを抱えていることが多い。
ここ「相州そば」は、神奈川県の相模鉄道沿線を中心に店舗展開をしており、その本店は関内にある「関内本店」だ。
だが、ここは相模鉄道グループでも無いし、そもそも本店のある関内には相模鉄道は走っていないという、相鉄と仲が良いけど鉄道系ではなく一般のそばチェーン店である。
関内駅からベイスターズ通りを横浜スタジアム方面に歩く。
いくつ目かの交差点の角にある「相州そば」。これが本店の「関内本店」だ。
相州そばの歴史
創業昭和四十一年とあるように、なかや商事によって1966年に創業したそば屋である。
なかや商事と相模鉄道の関係性は目に見えるような形で残されていないが、興味深い歴史もある。
以前、「株式会社大関」という相模鉄道グループの酒造会社があった。ここは創立後数年後に酒造をやめて、きしめんの専門店を横浜に出店する。それが「きしめん大関」であり、横浜駅のザ・ダイヤモンド街に存在していた。
2000年代に入り、相鉄グループの事業再編と持ち株会社制への移行に伴い、株式会社大関で行っていたきしめん店の事業は、相州そばを運営するなかや商事に譲渡される。
そして株式会社大関は相鉄準備会社(株)と社名を変更し、さらに相模鉄道株式会社として、鉄道事業の受け皿となる。
全く違う事業内容となっても登記上は同じ会社で、元々が酒造会社、そしてきしめんの専門店だったことは興味深い。
きしめん店の事業を譲渡されたなかや商事は、ザ・ダイヤモンド街にて「きしめん大関」を営業。そして2017年、ジョイナスへの店舗移転とブランドリニューアルを行い、新たに「横浜なかや 大関本店」となって今に至っている。
サンプルが並んだディスプレイが、良い味を出している。
関内の街に溶け込む立ち食いスタイル
店内は立ち食いのみで、10人も入れば満席になりそうな広さだ。
相州そばのメニュー。
麺類はすべて「そば」か「うどん」ほ選べる。
カレー、カツカレー、天丼、親子丼などもラインナップしている。
ここでは「たぬきそば」をオーダー!
340円だ。
テーブルにはわさび、しょうゆ、一味とうがらし、山椒、そば湯が置かれている。
そして柴漬けもある。
自分好み!ストライクな味
オーダーして20秒くらいで出された「たぬきそば」! 早い!!
そばの上にネギと天かすを載せただけの、シンプルきわまりないそばである。
食べてみると、そばのコシは柔らかめで、食べやすい感じ。
そして何よりつゆが若干甘めで、かなり自分好みである。
この柔らかい麺と甘めのつゆのマッチングが絶妙で、一気に食べ終わり、つゆを飲み干す所まで行ってしまった。
長年培った鉄壁の完成度を誇る味である。
関内本店以外は相鉄の駅にある駅そばだが、関内本店だけは街の中にある立ち食いそば屋である。
しかしここは繁華街の真ん中であり、相当な人の流れがある。特にベイスターズの試合がある日などは大騒ぎになるくらいだろう。
そんな中で50年以上もそばを出し続ける「相州そば」。
関内の味、そして横浜の味として、これからも歴史を刻み続けるだろう。