変わり続ける街、渋谷。
少しの期間足を踏み入れないだけで、駅周辺はガラリと変わっていく。
長年に渡って渋谷のシンボルだった東急百貨店 東急東横店。この百貨店も老朽化によって近々取り壊される。
そんな東急百貨店の2階に入っている立ち食いそば「本家しぶそば」。
かつて渋谷の会社に通っていた時、もう何度ここに寄ってそばを食べただろうか?
会社員時代は苦しいことばかりで、仕事終わりの身も心も疲れ切ってエネルギーがゼロ、むしろマイナスになっていた自分を、しぶそばが迎えてくれた。
食べたいと思ったときに、ほんの数秒で運ばれてくる本家しぶそばの味こそ、自分にとっての渋谷の味である。
そんな本家しぶそばが、東急百貨店の取り壊しと共に、前身である「二葉」の時代から40年近い歴史に幕を下ろすことになった。
東急百貨店の2階は、JR山手線・地下鉄銀座線・京王井の頭線の乗り換えに至便なコンコースになっており、本家しぶそばはその一角にある。
しぶそばは、渋谷駅の中にある立ち食いそばである。
渋谷を行き交う人や時間のないビジネスマン達の胃を、スピーディに満たしてくれた。
どんなファストフードよりもしぶそばの方が早いのは間違いなかった。
このメニューサンプル達のお仕事もそろそろおしまい。
よく食べたのはシンプルな「たぬきそば」か「月見そば」だった。
ガラスには「40年間 ありがとうございました!」とのメッセージが書かれていた。
閉店を告げる張り紙も。
今回の閉店にまつわるメッセージが貼られていた。
渋谷再開発の波で閉まったお店は、数多い。
今年はさらにコロナの影響もあって外食産業は未曾有の閉店ラッシュを迎えており、1号店や本店もどんどんなくなっている。
40年のご愛顧の感謝として、本家しぶそば(しぶそばの本店のみ「本家しぶそば」と呼称する)の限定メニューで、「本家オールスターズ」「いかと小柱のかき揚げ」「明日葉天せいろそば」の3つがラインナップしていた。
今回は「本家オールスターズ」をオーダー!
この日は最終日前日。
最終日に向けて毎日メッセージが更新されるホワイトボードのハチ公も、そろそろお別れ。
注文は入り口のキャッシャーで行う。
店員さんがマイクでメニュー名を読み上げてくれるのが、本家しぶそばの特徴だ。
メニューをテーブルに置いておくと、そこに店員さんが運んでくれる。
およそ20秒くらいで運ばれてきた「本家オールスターズ」!
さすがオールスターズ、すごいボリューム!
渋谷の会社も辞めて、故郷に移り住んで新しい仕事を始めている今の自分。
本家しぶそばを食べるのはこれが最後だと思うと、自分と渋谷との関係の一つが片付いたような、そんな気分になって店を出た。
ありがとう、本家しぶそば。