京都のとんかつは、柔らかいんやで
京都を発祥の地とするとんかつ専門店チェーン「かつくら」。
その本店は、京都の三条にある「三条本店」だ。
河原町三条の交差点にある、三条名店街。この商店街の中を進む。
すると右手に、間口の狭い「かつくら」が出現する。
隠れ家のようなとんかつ屋さん
入り口の脇には、イチオシのメニューが飾られている。これが無いと、ここがとんかつ屋だと気づかないかも知れない。
この細い路地を奥まで歩く。これぞ京都の町屋スタイル!
繁華街の真ん中に、こういう建物が無数にあるのが京都の特徴だ。
かつくら 三条本店も、こだわりがあって、このような物件を選んだに違いない。
「かつくら」と「リプトン」の深い関係
かつくらは、1994年4月、京都にて1号店「かつくら 四条店」をオープンさせた。
この三条本店は翌年の1995年7月にオープンしたもので1号店ではないのだが、いかにも京都といった物件と三条という繁華街、そして何より、運営会社である株式会社フクナガによる喫茶店「リプトン」と深い関係がありそうだ。
かつくらを運営する株式会社フクナガの歴史は長く、1930年にイギリスの「リプトン紅茶」の「直轄日本喫茶部」として、喫茶店を京都の三条に創業している。
この創業の地が、かつくら三条本店と隣接する「ティーハウス・リプトン 三条本店」なのである。
この右側の建物が「ティーハウス・リプトン 三条本店」だ。かつくらと同じ会社が運営していて、両方ともここが総本店である。
間口の狭い入り口の印象とは裏腹に、中に入ると広いフロアが出現する。
町屋をリノベーションした和モダンでオシャレな内装に、驚きを覚える。
右奥には個室まであり、ゆったりと静かにとんかつを味わうこともできそうだ。
レジカウンターの後ろの壁にある書。
われからと 音をこそ泣かめ 世をば恨みじ
(伊勢物語)
である。
町屋リノベーションのような、古い柱が残されている。
上を見上げると、吹き抜けの天井がある。とても格好いい。
入り口ではテイクアウト用のお弁当も販売されている。
オリジナルの「かつくら漬け」と「柚子ドレッシング」も販売中だ。
かつくら 三条本店のグランドメニュー。
今回は、「薩摩黒豚ロースカツ 160ぐらむ」と「夜の膳セット」をオーダーしてみた。
かつくらオリジナルお手ふき。
ソースもお店の個性のひとつ
とんかつ店らしく、テーブルの上にはさまざまなソースが置かれている。
ソースの手前にはこの木札があり、左から「ゆずドレッシング」「濃口ソース」「とんかつソース」と掘られている。この順番で並んでいるよという意味である。
これが「ゆずドレッシング」
これが「濃口ソース」
これが「とんかつソース」となっている。
手前には、高菜が入れられた壺もある。
オーダーして最初に運ばれてくるのは、ごまとすり棒だ。
これでごまを細かくすりつぶし、その中にとんかつソースを流し込み、ごまとブレンドさせる。
そして「夜の膳セット」のご飯。
ご飯はお櫃と茶碗がセットになって運ばれてくる。
このご飯、フワフワの米で相当美味い。麦飯も少し混ざっている。
「具沢山のお味噌汁」がこちら。白味噌でこってりとした味噌汁だ。
パリパリの衣、肉厚な黒豚、これが「かつくら」!
そしてこれがメイン。
「薩摩黒豚ロースカツ 160ぐらむ」だ。
パリパリに立った衣、そして肉厚っぷりをチラ見せしてくる盛り付け方…
かつくらのフラッグシップメニューである薩摩黒豚ロースカツが今、目の前にある。
一口食べてみると、その脂肪の甘さと肉の柔らかさが、一度に口に飛び込んでくる。
そして、オリジナルのとんかつソースが絶妙な酸味を運んでくれる。
かつくら 三条本店は、隣接するティーハウス・リプトンの歴史と共に、この地を本店として2018年現在、日本に26店舗、中国・上海に2店舗が運営されている。
京都発祥のとんかつチェーン店・かつくら。その丁寧なおもてなしを、後世に伝えて欲しい。