イタリアと京都の融合!?
「京風」と聞いて思い浮かべる食べ物は何だろう?
湯葉とか? 京懐石とか? あるいは、おばんざい?
いずれにせよ、和風であり、薄味であり、そして上品な何かだろう。
そんな「京風」をまとったスパゲッティ専門店がこちら「京風スパゲッティー 先斗入ル」だ。
本店は京都市の四条河原町にある「四条河原町本店」である。
四条河原町の交差点から東へ少し行った所にあるここが、京風スパゲッティー 先斗入ルの四条河原町本店だ。
「京野菜スパゲッティー」とある。
京野菜というものは明確に定義されているわけではないが、大きくは京都で収穫された野菜のことを指す。
また、店名の「先斗入ル」とは「ぽんといる」と読む。
「先斗」とは、すぐ近くの「先斗町」(ぽんとちょう)という通りのことで、鴨川の脇にある細い歓楽街、花街のこと。
「入ル」とは京都の住所表記でよく使われる表現で、例えば四条河原町の交差点から東の方向に向かうという時には「四条河原町東入ル」と表記する。
店名からあふれ出る京都感が個性を放っている。
京都の中心地である四条河原町エリアにあるため、終日にわたって多くの人が行き交う。
先斗入ルのメニューサンプル。
和食素材を使ったラインナップだ。
それでは入店してみよう。
京都の中心で、京都を叫ぶ!
京風スパゲッティー 先斗入ルは、ドトールコーヒーや星野珈琲店、卵と私などを運営する日本レストランシステムによって2003年に作られた、和風創作スパゲッティの専門店だ。
1号店は東京都豊島区の池袋にオープンした「池袋パルコ店」で、既に閉店している。
こちらの四条河原町本店は、現地には2015年に移転してリニューアルオープンしているが、当初は四条河原町交差点に面する阪急百貨店の7Fに店舗を構えていた。(その後阪急百貨店はマルイとなり、現在はエディオンになっている)
2021年12月現在では、東京や大阪などの都市部を中心に合計10店舗で運営されている。
店内は「和」のモチーフを様々な所に感じさせつつも、落ち着いたモダンな空間になっている。
BGMはお琴の演奏という純和風のものだ。
舞子さんをモチーフにしたアートも飾られている。
精巧に作られた祇園祭の山鉾の模型までもが店内の雰囲気に一役買っている。
ランチタイムということで、メニューはランチタイム仕様だ。
どのメニューも様々な工夫が凝らされており、選ぶのが楽しい。
丹波地鶏や九条ネギなど、京都の食材にそそられる。
迷った人向けにハーフ&ハーフとして、2種類を同時に楽しむこともできる。
今回は「セットA」の「丹波地鶏と丹波しめじのカルボナーラ & 紅ズワイガニと海老と本からすみのペペロンチーノ」のハーフ&ハーフセットをオーダー。
何だかとても豪華だ!
テーブルに置かれたこの形のトレイや、箸で食べることに見覚えのある方もいるだろう。
そう、創作スパゲッティ「洋麺屋五右衛門」と同じマナーに則っているのだ。
それもそのはず、先斗入ルと洋麺屋五右衛門は同じ「日本レストランシステム」傘下で、コンセプトも先斗入ルは洋麺屋五右衛門をさらに和風に寄せたもの、というブランドだからだ。
洋麺屋五右衛門でも様々な創作パスタがラインナップしているが、方向性としてはイタリアのパスタレシピがアレンジされたものが多く、和に振り切っているわけではない。そこが先斗入ルと洋麺屋五右衛門の大きな違いと言えるだろう。
凝った創作スパゲッティに感じる「京都」
しばらくして運ばれてきた「紅ズワイガニと海老と本からすみのペペロンチーノ」(左)と「丹波地鶏と丹波しめじのカルボナーラ」(右)のセット!
この二つを箸で食べるのが先斗入ルのスタイルだ。
こちらは「紅ズワイガニと海老と本からすみのペペロンチーノ」。
その名の通り紅ズワイガニと海老がトッピングされ、全体にわたってからすみがかけられている。
ペペロンチーノというと唐辛子のピリ辛なイメージがあるが、辛さはほとんどない。
全体的に薄味の、和食を思わせる味付けだ。
もう一つは「丹波地鶏と丹波しめじのカルボナーラ」。
カルボナーラらしく、クリーミーなスープに浸ったスパゲッティ。そこに京都産の地鶏やしめじがトッピングされ、卵黄が載る。
大きなしめじの食感のインパクトがあり、麺はそれに付随するような印象だ。
こちらも味付けは薄めにされており、カルボナーラでいて、ギリギリ和風を感じさせる絶妙さが面白い。
洋麺屋五右衛門の別コンセプト店として、共通点も多い京風スパゲッティー 先斗入ル。
もともと女性客比率の高い洋麺屋五右衛門だが、こちらはさらに高いのではないだろうか。
京都を感じたい、だけどもスパゲテッティを食べたい。
そんな思いを同時に叶えてくれるのが、京風スパゲッティー 先斗入ルだ。
京都やその近辺に住んでいると、京都の食材や味付けについては意外と意識しないもの。
近場に住んでいるからこそ、先斗入ルで発見することも多いかも知れない。