大阪に根付くカレー文化
大阪には数多くのカレー店がある。
ルーを口に運んだら、最初は甘く、その後スパイシーというのが「大阪カレー」の特徴と言われるが、中でもここ「インデアンカレー」は老舗のうちの一つだ。
1号店である「インデアンカレー 南店」は、夫婦菩薩で有名な難波・法善寺横丁の一角にある。
大阪メトロ難波駅の14番出口から歩いてすぐだ。
その佇まいは古い喫茶店のようなレトロさを放っている。
レシピは一子相伝の極秘事項
真っ正面から。とにかく間口が狭い!
インデアンカレーは1947年にこの地で創業した。
創業者である故・奥内ハルミ氏の母上はカレーが大好きで、研究を重ねてインデアンカレーのレシピを考案したのだという。
奥内ハルミ氏は戦後の不景気の中で、活力のある美味しいものを皆さんに食べてもらいたい、という想いからこの地に創業したとか。
それから現在に至るまで、基本的なレシピは何も変わっていないというのだから、その歴史に驚くばかりである。
ちなみにレシピは一子相伝の極秘事項であり、ごく一部の店員にのみ伝えられているという。
そんなインデアンカレーは2018年8月現在、大阪に7店舗、兵庫・東京に1店舗ずつの計9店舗で運営されている。
1号店である南店は間口の狭さ通り、店内はカウンター席のみとなっている。
そして外観通りのレトロな内装と狭小さが、1号店らしい情緒を醸し出している。
カレー専門店ならではの超シンプルなメニュー
インデアンカレー 南店のメニュー構成はいたってシンプルだ。
インデアンカレーとビール、コーラしか無い。
席に着くと、すぐにピクルスの小皿が運ばれてくる。
これはインデアンカレーの全店舗で共通だ。
インデアンカレーオリジナルの紙ナプキンと、スプーン。
そして運ばれてきたのは「インデアンカレー」の「タマゴ入り」!
インデアンカレーの店員は、長い修行期間を経てからでないとご飯にルーをかけることが許されず、初めてご飯にルーをかけるときは誰しも緊張で手が震えるのだという。
一見乱雑に見えるルーのかけかただが、インデアンカレー熟練の職人による芸当なのだ。
このかけ方こそが、カレーの美味さを100%引き出すのだ。
最初は甘く、あとから辛く!
最初の一口は、甘い。なんだ、こんなものか!食べやすい!
と思って、二口・三口と口に運んでるうちに、どんどんスパイスが効いてくる。
カーッ! 口の中がビリビリする!
でも、少し間を開けて食べた四口目は、また甘い。
そこに、トッピングしたタマゴ(黄身のみ)を割り、ルーと一緒に食べるとスパイシーさが少しマイルドになる。
さらに、ピクルスを一口食べることで、酸味がアクセントとなり、また新たな食欲が湧いてくる。
インデアンカレーの食べ方と醍醐味はこんな感じで、気がつけばあっという間に一皿平らげており、顔からは汗ダクダク。
一気にお冷やを飲み干すと、熟練の店員さんが「お冷やどうですか?」と言われ、なみなみと注いでもらうのだ。
法善寺横丁で創業して、半世紀以上の歴史を持つインデアンカレー。
創業者の「戦後の不景気の中で活力のある美味しいものを皆さんに食べてもらいたい」という想いは現代においてもそのまま生きており、そのスパイスで大阪の地に今も活力を与え続けていることは間違い無い。