大阪のビジネス街を真っ黒に染めるカレー
大阪のど真ん中、中央区の船場。大阪を代表するオフィス街として、多くのビジネスマンが行き交うこの街。
ひときわ目立つ船場センタービルもこの街のランドマークだ。
そんな船場の街に生まれたカレー、その名も「船場カリー」は、中央大通りに面した間口の小さな店だ。
歩道を歩いてたら現れる「船場カリー」の黄色い看板。
店は2階にあるため、歩道に面してるのは階段のみだ。
営業時間は月曜から金曜の11時から14時までというタイトなもので、この地域で働くビジネスマンや住人以外の人には少しハードルが高い。
ここは本店であり、創業の店だ。
昼時にはこのように、ビジネスマン達が列を成す。
オオサカン・カレー文化のグルーヴ感、ここにあり
船場カリーが創業したのは1997年のこと。
地下鉄御堂筋線 本町駅から歩いて5分、ビジネス街のど真ん中だ。
地名を冠したシンプルな店名とその味はたちまち人気となった。
2020年6月現在、大阪を中心に11店舗で営業されている。
本店の店内は狭く、ほぼ全員のお客さんが相席となる。
メニューは基本のビーフカリーから始まり、トンカツカリー、チキンカツカリーなど様々なバリエーションがあるが、船場カリーで人気のメニューはすじ肉をトッピングした「すじカリー」だ。
ここではスタンダードな「ビーフカリー」と、「温泉玉子」をオーダー。
テーブルの上に置かれた小瓶が二つ。それぞれ…
福新漬けと、
らっきょうだ。
ちなみに私はどちらも足さず、与えられたルーをそのまま食べる派である。
漆黒のカリー、それが船場カリー
しばらくして運ばれてきた「ビーフカリー」と「温泉玉子」!
想像以上の黒さが絶大なインパクトを残す。
ルーレシピは公開されていないが、公式ページによるとターメリック、ガラムマサラ、ナツメグ、ジンジャーなどに烏賊墨(イカスミ)が加えられているのだという。だからこの黒さなのだろう。
いやぁ、それにしても黒い!
ここに…
温泉玉子を…
ドローップ!!
優しいスプーン捌きでブレイクさせると、黄身が漆黒のルーの上に鮮やかなインパクトを残す。
それはまるで、ダークマターで満たされた宇宙空間にひときわ輝く恒星のようだ。
ルーの味はとにかくコクがあり、そして強めのスパイスがすぐに身体を熱くさせてくれる。
大阪カレーの特徴としてスプーンを口に入れた瞬間は甘くても、後からどんどんスパイスが効いてくるというものがあるが、船場カリーもその文法に則っている。
そして温泉玉子のやさしい味が絶妙にルーにマッチし、この上ない幸せとなって胃袋に運ばれる。
商業の街大阪、そして食の街大阪で育まれたカレー文化。その一端は間違いなくここ船場カリーにあった。