釧路のパスタは、ちょっと刺激的
釧路の名物は何?と問われれば、ザンギ、和商市場の勝手丼、そして「スパカツ」だろう。
スパカツとは、スパゲティの上にとんかつを載せたもので、アツアツのプレートで提供されるそれは、釧路のこの店で発祥したスタイルだ。
この店の名前は「レストラン泉屋」という。
釧路の繁華街である末広町。
幣舞(ぬさまい)橋から歩いてすぐの所にあるのが、「レストラン泉屋 本店」だ。
スパカツの歴史
レストラン泉屋は、1959年に小泉俊一氏によって創業された洋食屋である。
イタリアンどころか、洋食文化も目新しかった釧路で、付き合わせにしていたスパゲティをちゃんとメニューにして提供してみたところ、これが大人気になったのだという。
そこで小泉氏は、人気のスパゲティに人気のとんかつを組み合わせれば最高なんじゃないか? と考え、1960年に歴史的メニュー「スパゲティミートソースカツのせ」を誕生させた。
スパゲティミートソースカツのせは当然のように大人気となり、やがて「スパカツ」という名称で定着。
そして現在に至るまで泉屋の看板メニューとなっている。
それどころか、釧路の名物とまで言われるようになり、スパカツを食べるために釧路に行くという旅行者も多いのだという。
レストラン泉屋は2018年10月現在、釧路市内に3店舗で運営されている。
1階のエントランスには迫力のサンプルショーケースがある。
おっ、、、これは!?
これが…! スパカツ…っ!!!
スパゲティの上にとんかつ、そこにミートソース!
高崎のシャンゴで食べた「シャンゴ風」に近いようだが、雰囲気は結構違う。
一体どんな食べ物なのだろうか?
オーケストラのBGMが鳴り響く階段を、一歩一歩上に上がっていく。
そして2階にあるのが「レストラン泉屋 本店」だ!
古き良き洋食店の雰囲気
レストラン泉屋 本店の店内の様子。レトロさの中に格式を感じる雰囲気だ。古き良き洋食屋といった趣である。
レストラン泉屋 本店のグランドメニュー。
スパゲティに始まり、カレーライスなどもラインナップしている。
やはりこれが推しのようだ。スパカツ!!
スパカツ(ミートカツ) 980円
大・スパカツ(ミートカツ) 1500円
とある。ノーマルサイズでもかなりのボリュームっぽいのに、大なんて…恐ろしい!
ここではノーマルサイズのスパカツをオーダー。
テーブルの上にはコショウ、塩、タバスコ、粉チーズ、ソースがスタンバイ。
紙ナプキンは泉屋のシグネチャーモデルだ。
このボリューム!これが釧路のスパカツ
そして運ばれてきたスパカツ!!
鉄板の上にのせられたパスタからジューーーという音がしている。とても熱そうだ。
プチプチと油も飛び跳ねてくる。
この恐ろしいまでのボリューム感、伝わるだろうか!?
スパゲティだけでも相当な量がある上に、結構なサイズのとんかつである。
ミートソースの味はさっぱりとしていて癖が無く、とんかつにもスパゲティにも無難に合う。
このミートソースがシンプルなのに癖になりそうな味なのだ。
とんかつはボリューミーだけど柔らかく、サクサクと食べることが出来る。
スパゲティはやや太麺だけどモッチリとした独特の食感だ。
このスパゲティは茹でてから炒めるという特殊な工程で作られているため、他にはない食感となっているのだろう。
そして鉄板と接触した部分のスパゲティは「おこげ」のように固くなっており、焼きそばのような雰囲気がある。
このカリカリとした部分とミートソースを絡めて食べると第3の味を楽しむことができ、スパカツの奥深さを知ることになる。
「スパカツ」はこの店から始まり、半世紀以上が経過した今、釧路の名物として地元の人から観光客まで多くの人に愛されている。
そして、釧路・根室地方のイタリアンの料理人の多くが、この泉屋で修行して独立したのだという。
その名残りで、釧路と根室ではアツアツの鉄板の上で提供されるスパゲティが多いのだとか。
そんな文化の発祥の地でもある、レストラン泉屋 本店。
釧路の味として、是非「スパカツ」を、そしてもう一つの看板メニュー「ピカタ」も、味わって頂きたい。