今も息づく、釧路の老舗の息吹
北海道の釧路市内には、「東家」と名乗る蕎麦屋が多く存在する。
これらの多くは、この「竹老園 東家総本店」からの暖簾分けだ。
東家のルーツとも言える竹老園 東家総本店は1874年創業の老舗。
今も釧路市の春採湖の近くに店舗を構える。
竹老園 東家総本店。
地元の人々、観光客、それぞれに人気が高く、多くの人で賑わっている。
こちらが竹老園 東家総本店の店舗スペース。
薮そば 竹老園 東家総本店とある。
店舗の隣りには綺麗に手入れされた本格的な日本庭園がある。
東家総本店の全庭内を指して「竹老園」と命名されたのが1932年のことだ。
窓からこのような庭園を眺めながら、蕎麦を食べることができる。
東橋と名付けられた橋も架けられている。
庭園は散策することも可能だ。
それでは入店してみよう。
重厚さの中にある、日常利用のお手軽さ
竹老園 東家総本店は、1874年に創業者である伊藤文平氏が小樽にて、夜啼きそばの店「やまなか」を始めたことがそのルーツとなる。
1897年には「やまなか」の屋号を「東家」と改める。
1902年には函館に、1912年には釧路へと移転する。
1927年、二代目の伊藤竹次郎氏は自身が隠居するために、春採湖のほとりに屋敷を建造するが、蕎麦作りが忘れられず、店舗も併設して営業を開始する。それがこの竹老園 東家総本店であり、当時の建物が今も残されている。
竹老園 東家総本店の蕎麦は、皇族が釧路を来訪した際にも召し上がられるなど、釧路を代表する味覚となる。
数多くの暖簾分け店舗が釧路市内にあり、日常的な食事に利用されている。
由緒正しさを感じさせてくれる「東家」のプレート。
その長い歴史と重厚な店舗の割に、どのメニューも庶民的な価格で提供されている。
こちらが「御値段表」。
全てが揃った「竹老園 特製品コース」から始まり、当店名物の「かしわぬき(スープ)」などが並ぶ。
こちらが、グラフィカルなメニュー。
100年以上の老舗だというのに、ファミレスのような感覚でオーダーできる。
今回はオーソドックスな「もり」をオーダー!
そしてこれも忘れず。
東家名物の「かしわぬき」も!
湯飲みは、東家のシグネチャーモデルだ。
お茶を飲んで、そばが運ばれてくるのを待とう。
緑色の蕎麦と出汁が香るかしわぬきのスープ、永遠の定番感
最初に運ばれてきたのは「かしわぬき」!
これ、何かというと、天ぷらそばのそば抜きを「天抜き」と呼ぶように、かしわそばのそば抜き、つまり鶏肉の煮込みのようなものが「かしわ抜き」なのである。
割とハード目で、噛み応えのある鶏肉を噛むと、鶏の旨みが口の中に広がる。
そして鶏の出汁や脂身がよく出たコクのあるスープを味わうと、旨味や甘みが口の中にじんわりと広がった。
そしてこちらも到着。
「もりそば」!
淡い緑色をした蕎麦は、まさに北海道の蕎麦というイメージだ。
この色は、新そばの色に近づけるためで、クロレラの粉末で着色しているとのことだ。
適度なコシがあり、喉ごしがとても爽やかで、蕎麦の香りを楽しめる。
そして見た目以上にボリューム感があるので、最後までじっくりと楽しめる。
名実ともに釧路を代表する蕎麦店であり、釧路のシンボルともなっている竹老園 東家総本店。
のどかな春採湖の近くで、立派な日本庭園を見ながら、飾らない、お手軽な価格の蕎麦を食べる。
そんな体験をさせてくれるお店だ。