ジョイパックチキン 芦野本店

もう一つの釧路のソウルフード、カレーチキン

ソウルフードと呼ばれる食べ物はどうやって発祥し、どうやってその地に定着したか。
このお店の「カレーチキン」は数奇な運命を辿り、一度は絶滅し、そして復活した。

チェーン店を採り上げる本ブログで、一度絶滅してから復活した店舗はここくらいではないだろうか?
北海道・釧路市にあるファストフード「ジョイパックチキン」だ。

ジョイパックチキン 芦野本店
あのジョイパックチキンがロードサイドの店舗として復活を遂げた。

レトロなデザインは健在だ。

ジョイパックチキンのノボリが風にはためいている。

そしてこちらには、元祖 カレーチキンのノボリ。

それでは、入店してみよう。

ジョイパックチキン、その長い歴史

ジョイパックチキンは小樽に1号店を持ち、そこから札幌、千歳、網走、留萌と北海道の中でチェーン展開をしていたファストフード店である。
運営は釧路の有限会社 スーパーヒロセ。

しかし、時代の波にもまれて続々と閉店し、最後の1店舗となった釧路店だけが残された。
それがこの「ビッグハウス釧路店」だった。

以下、ビッグハウス釧路店営業当時の思い出フォトを掲載する。

DSC02277

釧路にあった巨大ショッピングセンター「ビッグハウス釧路店」
広大な駐車場には多くの車が止まり、賑わっている。

DSC02299

この中にジョイパックチキンの店舗があった。

DSC02293

DSC02305

DSC02280

ありし日のジョイパックチキン ビッグハウス釧路店の様子。
昭和の空気がそのまま残されているような雰囲気だ。

DSC02282

釧路市内のジョイパックチキンは、1979年に釧路市柳町でオープンしたのを皮切りに、1981年に「十條サービスセンター」でオープンしたのがこの店舗だった。「十條サービスセンター」は、十條製紙(現・日本製紙)釧路工場が運営母体の巨大ショッピングセンターだ。
その「十條サービスセンター」は1999年4月に運営母体が変わって「ビッグハウス釧路店」となり、2018年の閉店まで運営された。

DSC02285

DSC02304

カウンターの様子。レトロな雰囲気がたまらない。

DSC02288

ジョイパックチキンのメニュー。レトロな雰囲気を最も醸し出しているのはこのメニュー表だろう。

スイートパックロイヤルパックなど、箱の大きさによって名前が異なっているが、肝心の何ピース入っているかは記載されておらず、ミステリー感満載だ。

そもそも「ジャンボ」と「スーパージャンボ」の価格差が40円ならばスーパーの方を選ぶよね?とも思う。何がスーパーなのかはミステリーだが。

ちなみに「カレーチキン」と書かれたもの以外は普通の塩味のチキンであるので注意されたし。

なお、フライドポテトは「細」「太」から選べる。これは嬉しい。

DSC02289

なんと、「うどん・そば」がラインナップ。しかも「なべやき」まであるのだから驚く。

DSC02290

墨塗り教科書のように大量に消された「のみもの」メニュー。
「クリームソーダ」と記載されているのに、右下には「メロンソーダー」と、「ダー」になっているところが気になる。沖縄人がコーラをコーラーと言うようなものかも知れない。

そして「ジュースフロート」は、何のジュースなのか?ミステリーである。

DSC02291

上半分の大きな余白があり、突然の「エビピラフ」「五目チャーハン」「チキンライス」と炒め物のご飯がラインナップ。
そして下には「ホットケーキ」までも!

DSC02292

大半が隠されたこのメニューは「ソフトクリーム」「アイスクリーム」がラインナップ。ファストフード店の定番である。
隠された所はサンデーやワッフルソフトなどの凝った物があった様子だ。

DSC02287

グラフィカルなメニュー表も用意されている。結局これが一番分かりやすい

DSC02283

かなり色あせた写真の「チーズバーガー」「ベーコンエッグバーガー」などがラインナップされているが、これは1997年までテナントとして入居していた「雪印スノーピア十條サービスセンター店」の名残りだ。

 

DSC02286

UKパンクのレコードみたいな雰囲気の、JOYPACK CHICKEN看板。

DSC02306

カウンターはこのようになっている。下のサンプル品にはちゃんと鍋焼きうどんがラインナップされていた。

 

DSC02308

そしてこれが「Aセット」
中身はカレーチキン1ピースポテト(細)ドリンクSSサイズで、ドリンクはコーラだ。

DSC02309

ポテトには何かしらのスパイスが掛けられており、ちょっと他には無い味となっている。
このスパイスが絶妙で、食べ始めると止まらなくなってしまう。一体何なのだ…

DSC02310

そしてこれが「カレーチキン」

ザンギを生んだ街・釧路がさらに生み出した、ここにしか無いカレーとチキンの合わせ技
その名の通り、スパイシーな味付けの中にカレー粉の成分が織り込まれているものだ。

DSC02311

一口食べると「あっ、カレーだ!」と分かるこの味。ただのチキンとは違うスパイス感。
そしてしっかりとした噛み応え。
口の中に広がるカレーの味とチキンの味。これがどうも病みつきになってしまう美味さだ。

このジョイパックチキン ビッグハウス釧路店は2018年11月30日に閉店した。

釧路からジョイパックチキンが完全に消滅したかに思われたが、翌2019年6月7日、ジョイパックチキン 芦野本店として復活したのがこの店舗だ。
そして、続けて昭和店、札幌琴似店と3店舗もの体制となり、カレーチキンだけに華麗な復活を遂げた。

おやつとして楽しめて、学生達が寛げる空間

店内の様子。新しいお店だけあって、とても綺麗だ。

イートインスペースは広く、大勢で立ち寄ることも可能だろう。

掲示板に貼られた、ジョイパックチキン復活の新聞記事。
多くのファンが待っていたのだ。

オーダーはこちらのカウンターで行う。

セットメニューはAセット・Bセット・Cセットがあり、それぞれチキンの本数が違ったり、ポテトが付いていたり付かなかったりする。

今回はAセットでオーダー!

もちろんチキンは名物のカレーチキン

ジョイチキ、塩チキン、そしてポテトのバリエーション。

ドリンクはALL 100円で、ここから選ぶことができる。
リボンナポリンがあるあたり、北海道だ。

釧路のソウルフード、カレーチキンの美味さ

しばらくして出来上がった、Aセット。

カレーチキンポテト(細・チリ)リボンナポリン

旧ジョイパックチキンから、パッケージ類のデザインが一新された。

カレーチキン

これがジョイパックチキン伝統の味、そして釧路のソウルフードだ。

ザクッとした硬めの衣から感じる、絶妙な加減のカレーのフレーバーがたまらない。
フライドチキンともザンギとも違う、どこか懐かしい、ここにしかない味だ。

そしてフレンチフライポテト 細のチリ味!

揚げたてアツアツのポテトに、ピリ辛なチリパウダーがまぶされている。
カレーチキンとの相性も抜群だ。

釧路で愛されてきたカレーチキンのお店、ジョイパックチキン。
一度は絶滅したが、この地で新たに復活し、新しい時代に向かって進んでいる。

ローカルファストフードチェーンのユニークさ、そして親しみやすさは、新しい店舗になってもしっかりと守られていた。

ジョイパックチキン 芦野本店の地図

>本店の旅BOOKS新刊2冊、発売中

本店の旅BOOKS新刊2冊、発売中

全国のローカルチェーン店を巡る、チェーン店ツーリズムシリーズ創刊。Vol.1「ローカル回転寿司チェーン店のススメ DELUXE EDITION」、Vol.2「ローカルうどんチェーン店のススメ」を同時出版しました。ただいま発売中です。

CTR IMG