オムライスは、大阪で発祥した
オムライスが発祥したお店として、大阪で長い歴史を誇る「北極星」。
その本店は、心斎橋にある「心斎橋本店」だ。
地下鉄難波駅から徒歩5分。繁華街の中にあるひときわ古い日本家屋が、北極星の心斎橋本店だ。
「オムライスの店」と書かれた看板で、ここがオムライス専門店であることが分かる。
暖簾には「オムライス発祥の店」と書かれている。
その通り、北極星はオムライス発祥の店だ。
北極星の歴史は、1922年に大阪の汐見橋に創業した洋食店「パンヤの食堂」をルーツとする。
パンヤの食堂の主人である北橋茂男氏は、いつも白飯とオムレツを頼んでいた胃の弱い常連客に対して少しアレンジし、ケチャップライスを薄焼き卵で包んだ料理を提供した所、「これはうまい!」と絶賛された。
その食べ物の名前を聞かれたがまだ無かったため、オムレツとライスの造語で「オムライスやがな!」と言ったことが、オムライスの発祥だ。1925年のことである。
やがて店名を「北極星」とし、大阪府下に23もの支店を持つまでになったが、1944年の空襲にて本店以外が全て全焼した。
1949年に現在の本社ビルにある場所に北極星ビルを建立し、営業を再開した。
この心斎橋本店は1950年に建てられた数寄屋風の建物で、元々はお茶屋として営業していたものだ。
北極星は2020年1月現在、大阪・京都に16店補で営業されている。
外国人観光客の間でも北極星は高く、外のメニューにも各国語で併記されている。
その長い歴史を色濃く感じさせる空間
外観通り純和風の店内だ。
まるでどこかの旅館に来たような気にさせられる。
銭湯の入り口にあるような鍵付きの下駄箱がレトロだ。
入り口にはオムライスの誕生ストーリーが掲げられている。
創業間もない大正十四年、ご常連のお客 様で胃の具合の悪い方が、いつもオムレツと白いご飯を食べておられました。
ある時店主が「いつも同じものでは」と、工夫して玉ねぎを炒めトマトケチャップライスとしたものを薄焼き卵で包み特製料理としてお出ししました。
するとお客様が大変驚かれて「これ、何ちゅう料理や?」とおっしゃったので、店主はとっさに「いつものオムレツとライス、これをくっつけた“オムライス”でんな。」 と答えたのが誕生の由来です。
まさにオムライス誕生の瞬間だ。
歴史的な写真も飾られていた。
北極星のルーツ店であるパンヤの食堂の写真。
新世界にあった仕入れ課。ここから各支店に配送されたのだという。
これがかつてあった北極星ビル。現在は建てかわって本社ビルになっている。
昭和10年頃のウエイトレスさんの写真なんかも。
店内は庭を囲むように廊下があり、座敷席がメインだ。
2階席もあり、そちらは予約の宴会席となっている。
小さいながらも手入れされた庭を楽しむことが出来る。
数々のオムライスがラインナップ
こちらが北極星 心斎橋本店のグランドメニュー。
1ページ目より、定番のオムライスから始まる。
今回はスタンダードな「チキンオムライス」をオーダー!
さまざまなバリエーションのオムライス、そして一品料理も充実している。
箸袋は北極星のシグネチャーモデルだ。
運ばれてくるまでの少しの間、語学の学習ができそうだ。
そして運ばれてきた「チキンオムライス」!
シンプルそのものなオムライスだ。
玉子2個を使ったボリューミーな玉子部分。
そしてソースは酸味が少なく、食べやすい味付けがなされている。
ライス部も薄味に仕立てられており、あっさりとしている。
このあっさりとした味わいが、最後まですんなりと食べてしまえる感じの、不思議な魅力を醸し出している。
オムライス。
その世界の奥の深さと、発祥の店ならではの歴史や技術を確実に感じることができた。
今回はベーシックなチキンオムライスをオーダーしたが、次回は北極星の名物でもあるハヤシオムライスや、明太子とイカのオムライスにもトライしてみたい。