関西粉モン文化、お好み焼きに歴史あり
鉄板の上でボテっと返し、じゅう、っと焼く。そんな擬音がそのまま店名になったお好み焼き店「ぼてじゅう」。
その総本店は、大阪・道頓堀にある。
くいだおれ、かに道楽、大阪王将など数多くの飲食店が密集する道頓堀。
ここにある「ぼてじゅう」が、総本店だ。
ぼてじゅうの総本店は、このビルの2階にある。
入り口の様子。
さまざまなお好み焼きのサンプルショーケース。
一つずつライトアップされているのが洒落ている。
それでは入店してみよう。
1946年から、お好み焼きを焼き続ける店として
「ぼてぢゅう」のルーツは、創業者である西野栄吉夫妻が1946年に大阪の玉出で始めた「ぼてぢゅう」という店になる。
当時は自宅の軒先にテーブルを3台置いただけの簡素な物だったが、とん玉・いか玉などメニューが豊富で、近所では人気の店だったという。
1953年、宮原勝一氏の出資によって、繁華街である宗右衛門町に「玉出ぼてぢゅう」として出店。この時代、マヨネーズがお好み焼きに合うとタカラジェンヌの間で評判になったという。それが今の定番に繋がっている。
しかし1957年には西野夫妻と宮原氏との関係は終わり、「玉出ぼてぢゅう」は「大阪ぼてぢゅう」と店名変更をする。
そして西野夫妻は宗右衛門町に「ぼてぢゅう総本家」を出店する。宗右衛門町に二つの異なるぼてぢゅうが存在した時代が続くが、2009年、ぼてぢゅう総本家は倒産・閉店してしまう。
そのような歴史の中このぼてぢゅうグループは、1963年、ぼてぢゅう総本家から暖簾分けされた店舗がルーツとなっている。創業者は北村貞次氏だ。
その後、ぼてぢゅうグループは発展を続け、現在はぼてぢゅうだけでなく、「ぼてぢゅう酒場」「ぼて屋」「ぼてぢゅう食堂」「てっぱん屋台」など数多くのバリエーションを持ち、国内外で約95店舗で運営されている。
ぼてぢゅう 総本店/道頓堀の店内。
各テーブルに鉄板が設置されている。
店内には古い当時の写真が飾られている。
こちらは天下茶屋店。
過去の総本店の写真も。
グランドメニュー。
1ページ目には、ぼてぢゅうの歴史が伝わるようなストーリーが記されている。
昭和21年、ぼてぢゅうは食い道楽の街、大阪玉出で誕生しました。
戦後の当時、貴重で憧れでもあったマヨネーズをお好み焼にトッピングすることを考案。
お好み焼にマヨネーズのトッピングは、ぼてぢゅう発祥の大阪食文化であり、 究極のコラボレーションなのです。
お好み焼と焼そばがひとつになった「モダン焼」
戦後の高度経済成長期、ぼてぢゅうで誕生しました。
登録商標「もりだんさん焼き」は、モダン焼が誕生したときの名称。
やがて「もだん焼き」になり、モダン=近代的な新しい粉もんという意味がプラスされました。
6種類の野菜と果実、30種類の様々な香辛料を、溜りウスターソースでブレンドした秘伝の「ソース」。
国際果実のフルーティな甘酸っぱさと、トマトの自然な美味しさが口いっぱいに広がるリッチなソースです。
ノンオイルで塩分も控えめです。
元祖お好み焼とねぎ焼のメニュー。
豚玉のお好み焼はとん玉としてラインナップしている。
今回は「元祖 とん玉」をオーダー!
ぼてぢゅうが考案・発祥の、モダン焼のメニュー。
広島焼、チヂミチーズ焼も。
広島焼とは、具材を積み上げて蒸し焼きにしたものだ。
紙ナプキンと箸袋はほてぢゅうのシグネチャーモデルだ。
お好み焼きの教科書!ぼてぢゅうのとん玉を、ボテっ、ジュウ~と食べる
しばらくして運ばれてきた「元祖 とん玉」!
ソースとマヨネーズだけが塗られた状態で運ばれてくる。
厚みがあるので、ボリューム感を楽しめる。
かつお節、青のりなどはテーブルに用意されている。
なんと美しい姿だろうか…
細かくカットされたかつお節は、まるでアートのようだ。
さて、食べ始めよう。
シンプルに、豚バラ肉だけ。
飾らない、大阪の伝統の味。
生地がしっかりとしていて、食べごたえがある。
同じ大阪のお好み焼きチェーンである鶴橋風月とはまた違うキャラクターだ。
ミナミの中心である道とん堀で食べる、歴史あるお好み焼き。
その体験は、大阪の味を知る上で、とても意義のあるように思える。