長い歴史のあるすき焼きを、いざ味わわん
黒毛和牛を使った上質なすき焼きが楽しめる「人形町今半」。
東京におけるすき焼き専門店の代名詞とも言える同店の本店は、その名の通り、東京都中央区の人形町にある「人形町本店」だ。
地下鉄人形町駅から徒歩1分。
存在感のある朱色の建物が人形町今半の人形町本店である。
人形町今半 人形町本店は精肉店も併設されている。
すき焼き、しゃぶしゃぶ用の黒毛和牛を中心としたラインナップが揃っている。
レストランの入り口は精肉店の横の路地にある。
ひとつの世紀を余裕で超える今半の歴史とは
人形町今半は長い歴史を持つ。
「今半」は1895年、本所区吾妻橋の牛鍋屋として創業したのをルーツとする。
その後今半は浅草に移転するが、1923年の関東大震災により店舗を焼失させてしまう。
しかし、竜宮をイメージしたという派手な店舗で再建。浴室まで用意されたというその豪華絢爛具合は、当時の浅草でひときわハイカラなお店で、「今半御殿」とも言われたという。
その今半から1928年に暖簾分けされたのが「浅草今半」で、戦後である1952年に浅草今半の日本橋支店としてオープンし、1956年に独立したのがこの「人形町今半」である。
浅草の新仲見世通りにある「今半本店」、国際通りにある「浅草今半」、伝法院通り近くにある「今半別館」と共に、今半とその暖簾分け店舗は現在も健在である。
人形町今半は今半の暖簾分け店舗の中でも支店数やデパート地下での販売網が広く、2019年10月現在、レストランは系列のステーキ店も含めると東京を中心に横浜・愛知・博多にて17店舗で運営されている。
人形町今半 人形町本店は1階がステーキ専門店の「喜扇亭」、2階がすき焼き・しゃぶしゃぶの「人形町今半」となっているが、それぞれの店でお互いのメニューが楽しめるようになっている。
この看板には昼の献立のみだがそれぞれの代表メニューが掲示されている。
ちなみに「喜扇亭」という店名は、「飲みねぇ食いねぇ、江戸っ子だってねぇ」というセリフで知られる浪曲師・広沢虎造氏が活躍した寄席「喜扇亭」が、2階に一部残されていることから名付けられたのだとか。
入店するとまるで旅館のような落ち着いた内装に、すき焼きへの気分が一気に上昇する。
2階席は全て個室となっており、たとえ一人でも必ず掘りごたつのある個室に通される。
ランチはリーズナブルに、夜はフルラインナップで
これが人形町今半 人形町本店のグランドメニュー。
お昼のメニューは大きく「御膳」と「定食」に分かれており、御膳は下の厨房で作られたものが運ばれてくる形式で、定食は仲居さんが目の前で作ってくれるというものだ。
今回はオーソドックスな「すき焼き定食」をオーダー!
松茸すき焼きという期間限定メニューもラインナップしていた。
通常のすき焼きはこのようなラインナップ。夜はここから選ぶことになる。
しゃぶしゃぶのラインナップ。
ステーキのラインナップ。
そして会席料理まで用意されている。
目の前で仲居さんが作ってくれる!
テーブルの上には箸、今半オリジナルのコースター、そして簡単なお惣菜が置かれる所から始まる。
しばらくして、仲居さんによって運ばれてきたガスコンロとすき焼き鍋、玉子。
期待が高まる瞬間である。
そして!
目の前に運ばれてきた和牛と野菜!
なんてフォトジェニックなのでしょう…
黒毛和牛…
この美しい霜降り具合を見て欲しい。
どうですかこれ!
そして綺麗に盛り付けられた野菜!
まさにすき焼きのお手本と言わんばかりである。
ご飯とお味噌汁も運ばれてくる。おかわりもできる。
これぞ今半!黒毛和牛の神髄を楽しめる江戸の味
いよいよスタート!
熱くなった鍋に、今半オリジナルの割下を注ぐ所からはじまる。
そして仲居さんが手際よく、そしてムラなく、和牛を焼いてくれる。
まずは肉だけ。純粋に肉の味を楽しめるのだ。
ヒャー! なんてこった。
適度な歯ごたえで柔らかすぎず、そしてほのかに甘みを感じる和牛。
今半オリジナルの割下を贅沢に使った、コントラストがはっきりとした江戸らしい味付け。
そう、これが東京のすき焼きシーンのど真ん中!
仲居さんとのおしゃべりが盛り上がりながらも、どんどん和牛を焼いてくれる。
そして野菜のターン!
割下の味がしっかりと染みこんだ野菜と和牛を一緒に食べる。
それも人形町今半の本店で味わう。これぞド直球のすき焼きだ。
最後、玉子を使って簡単な卵とじを作ってくれる。
シメにはちょうど良い。
すき焼き定食はシンプルなデザートで終わる。
これで3,800円。当ブログでの最高値のランチであるが、確実に価格以上の価値を感じることができた。
東京で長い歴史のある今半。その流れを受け継ぐ人形町今半の本店のすき焼き。
これぞ東京の「粋」そのものなのかも知れない。
お土産もラインナップしているので、人形町今半本店訪問の記念に購入するのも楽しいだろう。