本格派イタリアンの草分け店は、亡き創業者の想いを今に伝える
北海道から沖縄まで全国に店舗を広げるイタリアンレストラン「カプリチョーザ」。
その1号店は、創業者である故・本多征昭氏の想いと共に、今も渋谷で営業を続けている「渋谷本店」だ。
渋谷駅から青山学院の方向に向かって徒歩8分ほど。ファーストタワーの裏手くらいにひっそりと地味に佇むカプリチョーザこそ、1号店である「渋谷本店」だ。
「華婦里蝶座」と漢字で書かれたレリーフが大きく掲げられた入り口が印象的である。
カプリチョーザの創業者である本多征昭氏は、イタリア国立エナルクホテル学校をイタリア人以外で初めて首席で卒業した。
その功績が認められ、1970年に開催された大阪万博ではイタリア政府から派遣され、イタリア館の料理を担当していた。
そして1978年になって創業したのがここ、カプリチョーザ 渋谷本店である。
当時まだまだ一般的ではなかったイタリア料理をぐっと身近にしたのは、黎明期のカプリチョーザだったのだ。
店内には、本多征昭氏に関する数々の記録・記憶が、当時を蘇らせてくれる。
フランチャイズが始まるまで料理のレシピは本多征昭氏の頭の中にしか無く、他の料理人たちには「見よう見まねで身体で覚えよ」というスタンスで教えるというものだったという。
そのため、1985年のフランチャイズ展開開始時になって初めて、明確に文書化されたのだという。
2019年12月現在、全国で98店舗で運営されている。
1982年に創業した場所からこの地に移転して来ているので、この店舗が創業時の場所というわけではない。
本多征昭氏は1988年7月、44歳で逝去する。
株式会社WDIによるフランチャイズ契約から3年後のことだ。
この1号店については本多氏の濃厚な想いを感じ取ることが出来るはずだ。
シックで重厚な雰囲気の店内は本店ならではのもの
カウンターの上にある「華婦里蝶座」のレリーフ。
決して広くない店内だが、とにかく濃厚な空気と時間が流れている。
お手拭きはカプリチョーザのシグネチャーモデルだ。
カプリチョーザ創業店で、伝統の味を楽しむ
そしてこれがカプリチョーザ伝統の「トマトとニンニクのスパゲッティ」である。
創業時からの人気メニューだという。
渋谷本店でこれを食べると、その完璧な味にノックダウンされること間違い無しだ。
日本にイタリア料理を根付かせたパイオニア、カプリチョーザの最も濃厚でディープな空間は、渋谷駅から気軽に行ける距離にあった。