江古田の地に根付いた定食屋さん
牛めしの「松屋」は実に半世紀以上の歴史を誇る定食屋である。
その1号店は、東京の練馬区にある江古田店だ。
西武鉄道池袋線 江古田駅から徒歩3分。
江古田市場通り商店街の交差点にある松屋が江古田店であり1号店である。
外観は他の松屋と何ら変わるところなく、ここが1号店であることは外観からは分からない。
松屋の歴史は中華料理店からのスタート
現在の牛めしの松屋としての1号店はこの江古田店であり、1968年創業である。
しかし松屋のルーツとなる店舗があった。
それは、江古田店オープンの2年前である1966年、創業者であり現・松屋フーズ会長である瓦葺(かわらぶき)利夫氏が練馬区の羽沢に創業した中華飯店の「松屋」だ。
ルーツ店とも言えるこの「松屋」は、ラーメンや餃子などの中華から、親子丼やカツ丼など出す店だったという。(現在は閉店)
2年後に江古田の地に移ったのは、その時たまたま物件の紹介があったからだとか。
2018年8月現在、松屋は全国に956店舗で展開している。
江古田店はカウンター席のみの店舗となっている。
カウンターもUの字になったもので、牛丼系チェーンによくあるタイプのものだ。
入り口にはタッチパネル式の食券機があり、ここで会計も済ませる。
メニューは店外・店内両方に掲げられている。
今回は「プレミアム牛めし」(並)をオーダー。味噌汁が付いて380円である。
1号店らしい掲示物が充実!
江古田店は店内の掲示物が多い。
一つずつ見ていこう。
まず一番目に入るのがこれだろう。
「松屋 1号店 江古田店 松屋フーズの歴史はここから始まった」
おお~!
ここが1号店であることを大きくアピールしている。
その下にあるのは松屋フーズの沿革だ。1966年の中華飯店「松屋」に始まり、1968年に江古田のこの地にて牛めし・焼肉の専門店として「松屋」がオープン。そこから現在に至るまでの歴史が記されている。1号店ならではのはからいだ。
1968年当時の江古田店がイラスト付きで説明されている。
学生とサラリーマンの街である江古田にて、昼は学生向けに牛めしを、夜はサラリーマン向けに焼肉定食を提供するスタイルが出来上がったのだという。
2016年現在、全国に1067店舗とある。これは松屋フーズの全ての業態を合わせた店舗数だと思われる。ここ数年で、とんかつ業態である「松のや」が急激に店舗数を増やしており、2018年現在では総店舗数は1100を超えている。
1968年当時の松屋 江古田店の写真も飾られていた。
カウンターの逆側には、2000年に瓦葺利夫氏が食品衛生法で表彰された賞状が飾られている。
これも1号店ならではだ。
テーブルの上には数々の調味料が用意されているのも松屋の特徴だ。
牛めしと豚汁用に七味、焼肉用にバーベキューソース、ぽんず、焼肉たれ、そして奥はサラダ用にフレンチドレッシングとごまのドレッシング、そして醤油である。
紅ショウガも用意されている。
牛めしを超えた「プレミアム牛めし」
そして運ばれてきた「プレミアム牛めし」(並)!
松屋がプレミアム牛めしをラインナップし始めたのは、2014年のことである。
消費税が8%となるタイミングで、吉野家は値上げ、すき家は値下げとそれぞれの戦略を実行する中、松屋は旧・牛めし並の290円からプレミアム牛めしの並380円と大幅な値上げに踏み切った。
とはいえ、ただ値段が上がったわけではない。
これまでの牛めしは肉の保存が冷凍だったのが、チルドに変更されたという。
それにより本来の肉の美味さが失われず、味が大幅に向上したのだとか。
しかしチルドでの保存は冷凍と比べると難易度やコストが高くなるため、価格が上昇したのだという。
プレミアム牛めしを一口食べると、そのプレミアムさをすぐに感じることが出来た!
以前はこれほど牛肉の味がダイレクトに伝わってくることは無かったが、プレミアムになった牛めしを食べてみると、牛肉の味がとても分かりやすく感じられた。
プレミアム牛めしのもう一つの特徴は、「黒胡麻焙煎七味」が付いてくることだ。
これはその名の通り、黒ごまをすり潰したものや山椒が入った七味で、通常の七味よりもややビターな味わいとなっている。
「1号店」であることを強く打ち出し始めた松屋 江古田店。
江古田の地で生まれ育ったこの味は全国に拡がり、これからもまだまだ進化を遂げていくのだろう。