東京の中心でそばを食べる
首都圏で展開する立ち食いそばの定番店、「富士そば」。
東京に行けば、誰もが見かるお店だろう。
そんな富士そばの1号店は、渋谷のど真ん中にある「渋谷店」だ。
※2016年1月31日に閉店しました。
渋谷109の道を挟んで真横というロケーションにある富士そばこそ、1号店である渋谷店だ。
富士そばは、1966年に創業者である丹道夫氏により、渋谷・新宿・池袋・西荻窪にて「名代 富士そば」として創業したことが発祥だ。当時の店舗は24時間営業だったという。
1972年には富士そばの経営に専念するためダイタンフード株式会社を設立する。
その後、富士そばを運営するグループ会社は着々と設立され、ダイタンフード株式会社の他にも
ダイタン食品株式会社
池袋ダイタンフード株式会社
ダイタンイート株式会社
ダイタンミール株式会社
ダイタンキッチン株式会社
と、数多くの運営会社がある。
富士そばの店舗は、上記のいずれかの会社が運営しているため、運営会社ごとに微妙に特徴が出ていることがあるという。
2019年12月現在、首都圏を中心に132店舗で運営されている。
その店内、驚異的な狭さ!
渋谷店の店内は、飲食店としてもまれに見るほどの狭小店だ。
椅子は無く、5人も入れば満員というくらいのスペースしかない。
ちなみに富士そば全店の中で立ち食いなのは今や3店舗しか無いのだという。
外にはテイクアウト用のカウンターもある。
食券機は店の外に向けて設置されている。
店内には演歌のポスターが貼られているが、作詞は富士そば創業者の丹まさと氏こと、丹道夫氏だ。
丹氏は、富士そばの営業成績が自分の目標の80%に達したら、昔からなりたかった作詞家に本格的になろうと、55歳にして六本木の作詞学校に入学。
そして現在までに丹氏が作詞した楽曲も30曲を超え、その中でも三笠優子「ひとり娘」、島津悦子「港のかもめ」は5万枚を超えるヒットを記録しているのだから、凄いことである。
丹道夫氏の著書も発売中である。
シンプルにして奥が深い世界
食券を渡すと1分しないうちに提供されたのが、富士そば1号店 渋谷店の「たぬきそば」だ。
渋谷の喧騒の中、立ちながらササっと食べる。
強い特徴があるわけでも高級感があるわけでもないけど、そばの風味をすぐに感じられる。
そしてビシッとしたつゆ。この組み合わせが東京を感じさせてくれる。
なお、富士そばの麺は2つの会社から仕入れている。それぞれ、紀州屋製麺と興和物産という会社からのものだ。
また、出汁も複数の会社から仕入れているのだという。
それぞれ、店によってどちらを使っているかが異なるため、全ての店が同じ味とはならないのだ。
東京都心に多くある富士そばも、その世界を知れば知るほど奥深いものがある。
しかし、何も考えずにサッとそばを食べる。その手軽さこそ、富士そば最大の魅力だろう。