吉野家 豊洲市場店

新しい市場と共に、新しい吉野家も歴史を刻む

築地市場の閉場とともに閉店した、吉野家 築地1号店。(その閉店日の様子)
東京の中央卸売市場は築地市場から豊洲市場へと移転した今、豊洲市場内で新たにオープンした吉野家 豊洲市場店は、数々の伝説を残す築地1号店を引き継いだ店舗だ。

新たに建設され、2018年10月より運用されている豊洲市場
築地市場とは違い、大きなビルの中に市場機能の全てが含まれている作りだ。
ゆりかもめの市場前駅から直結されている。

水産仲卸売場棟の3階に、飲食店が集まったエリアがある。

築地市場時代の場内と同様、寿司などの海鮮物以外だけでなく様々なジャンルのお店がある一角に、唯一の全国チェーンである吉野家があるのだ。

かつての築地1号店を思わせる数々の仕掛け

吉野家 豊洲市場店の店構えは、築地1号店の面影を再現した作りとなっている。
これは吉野家の他店舗には無い特徴だ。


在りし日の吉野家 築地1号店
オレンジ色の大きな暖簾が特徴だった。

暖簾は別物になったが、築地1号店と同様のイメージで設置されている。

築地1号店の入り口上にあった吉野家の歴史語りボードは、そのまま使われているようだ。

吉野家の歴史は、
一八九九(明治三二)年、
東京の魚河岸にて
牛丼店を開業したことに
始まります。
この魚河岸の皆様に
ご満足いただくために
自然と培われていったのが
「はやい・うまいやすい」牛丼を
お出しするという、
私たちの基本でした。
素材から製法に至るまで
ひとつひとつ吟味を重ね、
現在では日本をはじめ、
世界でもご賞味いただいている
吉野家の味。
この味は、まさにこの地で
育まれたものなのです。

吉野家

外国人観光客も多い豊洲市場ということもあってか、外に掲げられたメニュー表は英語表記もされている。
超特盛はXXL、アタマの大盛はBeef Lという表記だ。

店内はU字になったカウンターテーブルが2セット配置されている。
築地1号店のように、通路を通るのも一苦労…といったことはない。

目をひくアートがこれ。築地市場にあった頃の吉野家の絵
これは築地1号店にも飾られていたものだ。

もう一つはこの木彫り。
創業の地、日本橋の魚河岸にあった頃の吉野家の様子を表現したものだ。
これも築地1号店にも飾られていたものである。

牛丼に絞った最もシンプルな吉野家

吉野家 豊洲市場店のメニューラインナップは牛丼と牛皿に絞ったものとなっており、シンプルだ。
これは築地1号店時代を踏襲している。

築地1号店時代のメニューラインナップ。シンプルそのものだ。

テーブルにはもちろん、紅生姜が用意されている。

オーダーして、すぐに運ばれてきた「並盛」

吉野家 築地1号店の流れをくむ豊洲市場店の牛丼 並盛の姿だ。

築地1号店の牛丼と似た傾向として、玉葱の存在感があること。
シャキシャキとした食感を残した新鮮な玉葱という印象だ。
そしてやはり、しっかりと出汁の味を感じられる牛肉が、無限の食欲を誘う。

築地1号店の特徴は、市場関係者に愛された「つゆだくだく」「アツシロ」といった特殊なカスタマイズがあったことだが、豊洲市場店もこれを受け継いでいるという。
時代は変わっても、ここは市場のプロのための牛丼店なのだ。

1899年に創業し、1世紀以上に渡って東京の卸売市場で愛され続ける吉野家。
シンプル極まりない構成の中に、長い歴史に裏付けされた確固たる味が宿る。
ハイテクに満載の豊洲市場においてなお、その存在感は揺るぎない。

吉野家 豊洲市場店の地図


>本店の旅BOOKS新刊2冊、発売中

本店の旅BOOKS新刊2冊、発売中

全国のローカルチェーン店を巡る、チェーン店ツーリズムシリーズ創刊。Vol.1「ローカル回転寿司チェーン店のススメ DELUXE EDITION」、Vol.2「ローカルうどんチェーン店のススメ」を同時出版しました。ただいま発売中です。

CTR IMG