東京ローカルの中華料理店
東京都を中心に展開する中華料理チェーン「福しん」。
低価格なメニューと「手もみラーメン」で西側の東京都民にはおなじみの同店の1号店は、東長崎店だ。
西武池袋線 東長崎駅から徒歩1分の所にある福しん 東長崎店。
ここが福しんの1号店である。
ただし、以前は右隣の建物が福しんの東長崎店であり、現・東長崎店は2015年に移転したものだ。
そのため入居しているビルも(1号店にしては)新しい。
「手もみラーメン」が福しんの代表メニューで、半チャーハンとセットである「Bセット」が一押しされていた。
地域に密着した福しんの歴史
福しんは1964年の11月、この1号店である東長崎店にて創業した。
それまで、創業者である高橋保次氏は、池袋駅南端にある「びっくりガード」付近にあった中華料理店「福新」で働いていたという。
そこからのれん分けする形で「福しん」として創業した。
地元に愛される店作りと、お客さんの要望は何でも聞くという方針の福しんは、大規模にチェーン展開をしたり株式上場をするようなこともなく、ずっと東京のローカルチェーンを貫いている。
2018年9月現在、東京都内を中心に埼玉での1店舗も含めて35店舗で展開されている。
なお、看板の顔は「ウインキーちゃん」という名前である。
誰がデザインしたかは不明なのだそうだ。
店内はカウンター席中心ではあるものの、奥にテーブル席がいくつかあり、ゆとりのある広さとなっている。
シンプルで明快なメニュー
福しんのレギュラーメニュー。
「あなたの街の食卓です」というコピーが、福しんの立ち位置を端的に表している。
メニューの写真にチラリと書かれたウインキーちゃんの「オレに、餃子はマストだぜ!」のフキダシ。
「オレに」ということはウインキーちゃんは男性だったと分かる。
しかし「マストだぜ」というのは、年配者に通じるか心配だ。
ディスクユニオンなどのレコード店において、店員が「激ヤバ!マスト!」などと書くことは多いが、福しんもそのノリで書いたに違いない。
メニュー構成。上半分が麺類で、下半分がご飯類となっている。
メニュー構成は一般的な中華料理店とは若干異なり、ラーメンの種類が豊富であることなど、福しん独特の世界が広がっているのが特徴だ。
ここでは「手もみラーメン(醤油)」と「餃子」のセットをオーダーしてみた。
福しんでは餃子とのセットが「Aセット」、半チャーハンとのセットが「Bセット」となっている。
テーブルには酢、醤油、ラー油、胡椒、一味と、基本的なものが揃っている。
餃子のタレは醤油と酢を配分して自作することになる。
そしてテーブルの脇には「原宿の母がこっそり教える 手相占い」マシーンが鎮座している。
「あなたの手相をズバリ鑑定!」とあるが、そもそもどこで手相を見るのだろう?
お金を入れたらカードが出てきて、そこに手相占いの結果が書いてあるのだろうが、人によって手相は異なるのにどう占うのか、謎は深まる。
福しんの定番、手もみラーメン!
そして運ばれてきた「手もみラーメン(醤油)」と「餃子」!
手もみラーメンは、見た目はいたってシンプルな醤油ラーメンだ。
麺は自家製のものとのことで、コシがあり食感は抜群だ。
味付けもいたってシンプル。複雑な味付けのラーメンが増えた昨今、このような昔ながらの優しくてシンプルなラーメンが嬉しい。
そして餃子。
こちらは単品だと200円、セットだと190円と、中華料理チェーンの中では最も安い部類に入るのでは無いだろうか。
ベーシックかつ癖の無い餃子で、優しい味のラーメンとの相性はバッチリだ。
地域密着型で、どこよりもリーズナブル、そして優しい味付けの福しん。
1号店である東長崎店は創業から50年以上が経つ、もはや老舗の中華料理店だ。
ずっと地域に愛され、地域に育てられてきたのだろう。その理由は、やはり「優しさ」のある味、店、値段だからに違いない。
東京ローカルの中華料理チェーンとして、これからも優しい味を提供し続けて欲しい。