歌舞伎町のド真ん中で新鮮な蕎麦を食べたければ
多種多様なそば文化のある東京において、低価格な立ち食い系そば屋チェーンは激戦区だ。
富士そば、小諸そば、ゆで太郎を筆頭に、鉄道系の箱根そばやしぶそば、いろり庵きらくなど枚挙に暇がない。
ここ「いわもとQ」は小規模なチェーン店ながら、その味と存在感で人気を博している。
2003年オープンの1号店である麹町店はすでに閉店しており、2023年7月現在は2005年オープンの2号店、歌舞伎町店が最古店となっている。
※2023年7月、移転のために一時閉店。その後、2023年10月15日、いわもとQ全店閉店。
雑多な店がひしめく歌舞伎町を歩いていると現れる、いわもとQ 歌舞伎町店。
「ありえないお店を目指す店」というコピーが目を引く、いわもとQ。
もっとうまいを、もっと身近に。
本格日本そば店に劣らない味を立ち食いそば屋の価格で提供したい。
うまいが先、安いは後。
そのための「絶対鮮度の追求」。
「またおいしくなった」と思っていただけるような店を目指していきます。
いわもとQ 歌舞伎町店のメニュー表。
低価格なセットが魅力的だ。
立ち食いそばらしく、あらかじめ食券を購入するスタイルだ。
今回は「天丼セット」の食券を購入!
それでは入店してみよう。
既存店の徹底研究から始まったいわもとQ
いわもとQは、創業者である岩本浩治氏を代表を勤める有限会社ライトスタッフによって運営されるそばのチェーン店だ。
元々セブン-イレブンにて店舗指導員を務めていた岩本氏だが、その経営のノウハウを元に経営コンサルティングに転身。
その後、市場調査の結果から立ち食いそば屋を始めたのがいわもとQの創業だ。
しかし調理経験の無い岩本氏がやったことは、既存のそば屋のゴミなどを見て、どの醤油を使っているか?などを徹底研究。
そしてとにかく鮮度にこだわることにした。
1号店は2003年にオープンした麹町店で、ある程度の収益性が見込めるようになってから2号店となる歌舞伎町店をオープンさせた。
しかし繁華街である歌舞伎町はオフィス街の麹町とは違い、お客さんが来るタイミングがバラバラ。
そのため作り置きで無駄が多く発生し、天ぷらの味が良くなかったという。
そこを、オーダーから天ぷらを揚げるスタイルに改良したところ、劇的においしくなり、人気店となった。
そして、ライムスター宇多丸のウイークエンドシャッフルなどのラジオ番組で採り上げられたことでいわもとQの人気は定着したという。
ちなみに麹町店時代の当初の店名は「いわもと」で、歌舞伎町店から「いわもとQ」へとなった。
これは、もともと「いわもと」という店名だったが、その右横に箸を持っている顔のイラストが描かれており、それが「Q」の文字に似ていたことから、「いわもとQ」と読む人が続出。それに合わせるように店名まで「いわもとQ」に変更したという経緯を持つ。
そのため、現在も「Q」の中には目のような点が描かれている。
2023年7月現在、東京都に4店舗で運営されている。
いわもとQ 歌舞伎町店の店内。
シンプルなテーブルと簡易的な椅子が設置されている。
こちらはカウンター席。
食券は厨房のカウンターごしに渡す。
厨房カウンターの上には「Qのこだわり」が掲げられている。
Qのそば
毎日休まず自社製造。しかも茹で置きなし。
だから新鮮、だから安心、だから美味しい。
Qのつゆ
醤油は特撰、味醂は昔仕込み、だしも高品質な厚削り節を贅沢に使い、自社で時間をかけて毎日抽出しています。
Qの天ぷら
天ぷら粉も油も、相当いいものを使っています。だから天丼も美味しい。
Qの薬味
ねぎも毎日自社加工。
わさびは本格生おろし。薬味の素性にまでこだわります。
香ばしい香りが漂うそばと揚げたての天ぷらが!
すぐに出来上がった「天丼セット」の「もり」!
いわもとQの自社製麺によるそばはフレッシュで瑞々しく、口に入れるとそばの香りがフワッと広がる。
そして、噛み心地の良いコシ。
高級なそば屋に行ったかのような体験が立ち食いのそば屋で楽しめるというのがいわもとQ最大の特徴だ。
濃い目のつゆに漬け、勢いよく食べる。
この瞬間がたまらない。
注文してから揚げられた熱々の天ぷらがうれしい天丼。
小さめサイズながらも、充実した内容だ。
カウンターに置かれた生姜、天丼タレ、七味、わさびなど。
そば湯はここからセルフで足す。
セルフ式そば湯の作り方も指南されている。
新宿歌舞伎町の雑踏の中で、突然現れるいわもとQ。
「ありえないお店を目指す店」のコピー通り、本格的なそばと、作りたての天丼を味わえる立ち食いそば。
その魅力ある存在は、歌舞伎町の中でもひときわ輝いているようだった。