博多うどんの濃密な世界を堪能できる店
九州にあるうどん文化を形成するチェーン店のひとつ、「牧のうどん」は福岡県と佐賀県で展開しているチェーン店だ。
その本店は、福岡県糸島市にある「加布里本店」だ。
牧のうどんの加布里本店は、国道202号線・唐津街道沿いにある。
大きな看板が出ているので、見つけやすいだろう。
牧のうどんの店舗がどこにあるかマッピングされている看板もある。
2017年8月現在、全18店舗が営業している。
読み方は「マ↑キ↓の↓うどん」ではなく「マ↓キ↑の↑うどん」
牧のうどんは、1973年に加布里で創業した「畑中製麺所」という製麺所で、麺の小売りをしていた店をルーツとする。
当時この地域の名前である「牧」から、愛称のように「牧のうどん」と呼ばれており、それが正式な店名になったのだという。
そこに地元の駐在さんが昼ご飯を食べに来た時、湯がきたての麺がおいしいと言ったのを切っ掛けに、店内でも麺を出し始めたのが、今の「牧のうどん」の始まりだ。
現在の運営元である株式会社釜揚げ牧のうどんは1976年に設立されている。
以来、社長の代が変わった今でも、創業当時とほとんど変わらないスタイルで運営されている。
牧のうどん 加布里本店のカウンター席。
工場のような厨房
広い厨房の中で動く製麺機が、まさに工場といった雰囲気だ。
一般的なうどんは、「麺切り」の後「ゆで」、そして「冷や水で締める」という行程を踏むが、牧のうどんの場合、「ゆで」た直後に締めずに提供する。
その結果、つゆをどんどん吸い、ブヨブヨになった麺になるのだが、これが牧のうどんの最大の特徴だ。
座敷席もまた広い。これだけの広さの座敷席を持つうどん屋は見たことが無い。
まさに九州のうどんといった雰囲気のメニュー
牧のうどん 加布里本店のメニュー。
ごぼう天や丸天といったメニューが九州のうどんという感じがする。
写真付きのヴィジュアルメニューも空調機に貼り付けられている。
牧のうどん 加布里本店ではテイクアウトも可能だ。
家でも牧のうどんを食べよう。
ゆで卵は、1個60円である。
牧のうどんの特徴として、この長いメニュー票がある。
メニュー票は木の板の上に何枚も重ねられており、上でクリップ留めしてある。
テーブルの上に置かれた塩とやかん。
このやかんが牧のうどんでは重要なアイテムとなる。
こぼう天うどんを食べてみる
そして運ばれてきた「ごぼう天 うどん」。
福岡のうどんチェーン店で人気を二分するウエストのごぼう天とはまた違ったタイプのものだ。
ブヨブヨの柔らかい麺が最大の特徴
なんと言ってもこの麺に牧のうどん最大の特徴がある。
麺の硬さは「軟めん」「中めん」「硬めん」の3種類を選ぶことが出来る。ここは「中めん」を選択したが、それでもコシは全く無く、ブヨブヨである。これが「軟めん」だとさらにブヨブヨのヨワヨワになるというのだという。
そしてあっというまにつゆを吸うので、こういう時にテーブルの上にあるやかんに入ってるつゆを注ぐのだ。
これぞ牧のうどんの標準的な食べ方である。
昔からの製法をほとんど変えず、原価率も高いままだという牧のうどん。
工場は一つであり、鮮度のこだわりから工場から遠隔地には出店せず、また味の違いを嫌って2つめの工場を持たないという。
牧のうどんのレトロな雰囲気と、そこにある長年の伝統とこだわりは、加布里本店には濃厚に息づいていた。