あのスタイルのハンバーグ、実はここが元祖
目の前でハンバーグを2つに割ってもらい、アツアツのプレートにジュ~っと押しつける。
ハンバーグソースをかけると猛烈に飛び散り、音がする。それがまた食欲をそそる…
現在、そんな本格的なハンバーグ店が人気だが、そのルーツはここ、「ハングリータイガー」だ。
ハングリータイガー、その歴史は長い
ハンバーグとステーキのレストランであるハングリータイガーは、横浜市保土ケ谷区にその1号店である本店「保土ケ谷本店」を持つ。
この保土ケ谷本店の歴史は長く、1969年創業というのは大阪万博の前年であり、日本の外食産業の中でもかなり歴史の長いレストランだと言える。
横浜新道の真横の高台に立つハングリータイガー 保土ケ谷本店。
横浜新道を走ったことがある人なら、この赤い看板に見覚えがあるのではないだろうか。
ハングリータイガーのマスコットはそれぞれ「ベンガル君」「ハングちゃん」という名前が付けられてるのだという。
重厚な雰囲気の保土ヶ谷本店
1号店である保土ケ谷本店は、1969年の創業当時の建物をそのまま利用しているため、歴史の重さをズシリと感じさせる重厚な雰囲気に満ちあふれている。
当時この地は何も無い場所だったが、アメリカに視察に行った創業者の井上修一氏は、アメリカではモータリゼーションが進んでおり、いずれ日本でもそうなると予見し、都心部や駅から離れたこの地を創業の地に選んだのだという。
駐車場のスペースや建物自体も余裕のある作りになっており、このような待合テラスもある。
また、店舗の下の階は丸ごと待合用のフロアとなっており、土日などの混むときに開放され、ドリンクなどが提供される。
ハングリータイガーから始まった、このスタイル
入り口に誇らしげに掲げられたポスター、「ファーストONE」。
そう、人気の「さわやか」や「フライングガーデン」で提供されるようなハンバーグのスタイルは、ハングリータイガーが起源なのだ。それも、この場所でだ。
このスタイルはハングリータイガーを1969年に創業して数年後に開発され、定着したのだという。
インディアンの木彫りがハンバーグ気分をむやみに高めてくれる。
肉や野菜の産地を示すことも、今ではどのレストランも定番である。
繁栄からどん底を味わい、そして復活の今
ハングリータイガーは、2018年3月現在、横浜市を中心に神奈川県内のみで10店舗で展開されている、神奈川のローカルハンバーグチェーンだ。
1980年代のバブル期には店舗数を増やし、都内や千葉まで含めて30店舗あったのだという。
しかし、2000年代に入ってから狂牛病騒動や、O-157の食中毒事件を起こしてしまったことが影響し、店舗の大部分をテスコシステムに売却、3店舗のみを残した運営に大幅縮小。それがこの保土ケ谷本店、若葉台店、相鉄ジョイナス店である。
筆者の住む地域にも以前はハングリータイガーの店舗があり、行ったことがあった。が、ある時期を境にその店舗も無くなり、ハングリータイガーが激減していることを実感していたのだった。
しかしその後、横浜を中心に神奈川県内で根強く愛され、今では10店舗に店舗数を復活させているのだ。
そしてこの本店は創業時から同じ。何ともドラマチックな展開である。
解放感に満ちた店内と、見下ろすトーテムポール
保土ケ谷本店のフロアは広くて天井も高く、そして横浜新道を見下ろす面のガラス窓も大きく、開放感に満ちている。巨大なロッジのようだ。
何より目に入るのはこの巨大なトーテムポールだ。とてつもない存在感で、ハンバーグを食べる皆の衆を見守っている。
このブースは、チャコールブロイラー。ハンバーグやステーキが、ここで炭火で調理されるのだ。
なお、中は写真撮影禁止となっているので注意である。
ハングリータイガー 保土ケ谷本店のメニュー。
この時間はランチタイム(11:00~15:00)だったので、ランチメニューとなっている。
ここでは、「ランチ オリジナルハンバーグ」の「プラス1セット」をオーダーした。
サイドメニューはスープ、ドリンクはオレンジジュース(ミニッツメイド)である。
テーブルの上には塩と胡椒の小瓶だけが置かれている。いかにもステーキハウスだ。
ナイフ・フォークを置く下敷きの紙には、雑学が印刷されている。
プレートの下に敷き、油の飛びはねを押さえる紙ナプキンも、ハングリータイガーのオリジナルのものである。
先に運ばれてきたスープは、トマトベースのミネストローネだった。
そしていよいよ、プレートの下に置く土台としての木のプレートが先に運ばれてきた。
この段階で紙ナプキンを下に敷かないと、鉄板が運ばれてきた時にはもう手遅れとなるので注意しよう。
同時に運ばれてきたのは、ハンバーグのソース。こちらももちろん、ハングリータイガーのオリジナルであり、伝統の味だ。
まずはライス。
目の前で最終調理されるハンバーグ!
そして運ばれてきた、オリジナルハンバーグ!
まずはこの状態で置かれる。
プレートの上には、ポテト、いんげん、サラダミックス、タマネギが添えられている。
ここに…
真っ二つにナイフを入れられ…
それぞれを鉄板に押しつけ、内部を焼き、
オリジナルソースがかけられる。
ちなみに、この瞬間に油が撥ねまくるので注意が必要だ。
1分ほど待って油が落ち着いた頃が食べ頃である。
これがハングリータイガー伝統の、オリジナルハンバーグ!
ややハードでややビターな、大人のハンバーグ
ソフトで食べやすいハンバーグが多い中、ハングリータイガーのオリジナルハンバーグは硬さがあり、噛み応えが十分である。
つなぎを一切使っていないことが食べてすぐに分かるような、まさに大人のハンバーグだ。
そしてソースも甘口ではない。かといってスパイシーでもない。ビシっと締める方向の味で、これがハンバーグに最高に合うのである。
創業から今年2018年で50年近い年を迎えた老舗、ハングリータイガー。
その1号店である保土ケ谷本店は、創業時の雰囲気や味を今に伝える貴重な店舗であり、神奈川ローカルのハンバーグチェーンとして、なくてはならない店舗であることは間違い無いだろう。