「すた丼」が「スタ丼」だったころ
ニンニクを効かせたボリュームある豚丼で人気の「伝説のすた丼屋」。
現在、株式会社アントワークスが運営する伝説のすた丼屋は、2018年8月現在、日本国内に留まらずアメリカにも進出し、80店舗で運営されている
そんな伝説のすた丼屋のルーツとなるお店は、東京都の国立にある「名物スタ丼 サッポロラーメン 国立店 」である。
今でこそ「すた丼」として広く認知されているが、そのルーツはここ「サッポロラーメン 国立本」の1メニューであった「スタ丼」である。
国立で生まれたスタ丼、その歴史
時は1971年、創業者である橋本省三氏がこの地に「サッポロラーメン 国立店」をオープンさせる。
「若いやつらに安くて旨いものを腹いっぱい食べさせてやりたい」との想いから、試行錯誤を経て産み出されたのが「スタ丼」だ。
株式会社アントワークスの現会長である早川秀人氏は、19歳の時にアルバイトとしてサッポロラーメンで働き、22歳の時には社員となった。
1987年、橋本省三氏が逝去すると、3つあった店舗はそれぞれの店長が経営を受け持つようになる。
そして1989年、早川秀人氏は有限会社アントワークスを設立し、国立東店と国分寺店の経営を行うようになる。
2000年、サッポロラーメン時代から数えて4店舗目となる「名物すた丼の店」を八王子にオープンさせる。
「スタ丼」がひらがな表記の「すた丼」となったのは、ここからである。
2004年、「名物すた丼の店」から「伝説のすた丼屋」へと屋号を改めての1号店「伝説のすた丼屋 早稲田店」のオープンを皮切りに、伝説のすた丼屋はチェーン・FC展開をスタートさせる。
創業店である「サッポロラーメン国立店」はアントワークスとは違う経営だが、今なお当時の味を提供し続けている。
これがスタ丼!シンプルな味にある普遍性
店内は写真撮影禁止なので、運ばれてきた「スタ丼」を。
大盛りご飯の上に海苔、その上にニンニクの効いた豚肉をトッピング、さらに生卵も、という構成は今の「すた丼」と変わらないが、こちらの「スタ丼」の見た目はどこか素朴である。
昭和の大衆食堂のメニューといった趣だ。
味も淡泊で、シンプルそのもの。
「すた丼」といえばドギツいニンニクという印象だが、こちらはあっさりとした味で、ニンニクもさほど強くない。
あれ?と拍子抜けしてしまうほどだ。
しかし、最初はこれだったのだろう。この素朴な味が当時の若者を虜にしたのだ。
壁一面に貼られた大学の体育系部活の選手のサイン。ここが今も体育会系選手御用達の店であることを思わせる。
レトロな店内で、45年以上前の「スタ丼」を味わう。そんな不思議なタイムスリップを体験できる希有なルーツ店であった。