その店名が問いかけるものは?
「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」
そんなことを言われても知らない。
でもそれが店名なのであれば、そこに答えがあるのかも知れない。
それにしても長い店名だ。
90年代初期のビーイング系、「愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない」「このまま君だけを奪い去りたい」「愛を語るより口づけをかわそう」「刹那さを消せやしない」といった長いタイトルのシングルCDを思い出す。
「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」の1号店であり本店は、池袋にある池袋本店だ。
正式な店名は「壬生」という。
道行く人にインパクトを与え続ける黄色い看板。
さて、なぜ蕎麦にラー油を入れるのか?
蕎麦もラー油も好きな私は、期待を胸に入店する。
シンプルかつ本質的な食材たち
なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。 こと壬生は、株式会社のみもの。により運営されている蕎麦のチェーン店で、創業者である壬生裕文氏によって2012年に池袋にて創業する。
店名「壬生」は創業者の苗字から取られたものだ。
その後、都内を中心に直営店と暖簾分けでの出店を続け、2021年8月現在、東京と山梨に合計12店舗で運営されている。
また、系列店としてカレーは飲み物。、洋食は飲み物。といった店舗も運営されている。
なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。 池袋本店の入口には食券機が設置されている。
ここで食券を買い、先にお会計を済ます方式だ。
横に貼られたメニュー表。
大きくはつけそばとぶっかけ蕎麦の2種類だ。
麺は量にかかわらず、同一料金となっている。
大食いの人でも安心だ。
今回は「とろろ肉そば」をオーダー!
店内に貼られたポスター。
2010年 池袋の片隅で〝壬生〟の屋号で創業しました。
このブランドは古典的な蕎麦文化へのアンチテーゼとして生まれました。
戦後、日本を代表する麺である〝日本蕎麦〟は麺業界ではトップでしたが、古典に甘えてしまい、近年のラーメンブームによる創意工夫の前に今ではすっかり衰退してしまいました。
街の蕎麦屋が消えていき、安い立ち食い善意と高い手打ち蕎麦が残り、中間ゾーン (500円~1000円)はラーメンが占めていきました。
その中間ゾーンを狙った商品が〝肉そば〟です。
従来の蕎麦では想像もしなかったラー油との組み合わせとコシのある蕎麦のボリューム、ラノベ系屋号の元祖としても注目され、今では東京、山梨、長野と展開しています。
「蕎麦をもっと自由に楽しく」をモットーにして、ぼくらは想像力とユーモアと情熱で蕎麦を進化させ、「新しい蕎麦カルチャー」を想像して未来に向けて発信していきます!
壬生という店名で創業したなぜ蕎麦にラー油を入れるのか。のフィロソフィが書かれたポスターだ。
「ラノベ系屋号」という表現が現代風でおもしろい。
入り口付近のカウンターに置かれた、そば湯と魚粉。
テーブルに置かれた生卵。
取り放題だ。
焦がしニンニクが入ったラー油。
こちらは天かす。
お好みに応じてスープにプラスさせよう。
なぜ蕎麦にラー油を入れるのか、その理由が分かった!
しばらくして完成した「とろろ肉そば」!
蕎麦にはフサフサとボリュームのある海苔がトッピングされている。
海苔の下にはどっさりの肉がスタンバイ!
そしてスープ。
ラー油らしく、赤黒い色をしたスープには、白いとろろ芋がトッピングされている。
ファンタジックな見た目だ。
蕎麦の麺はコシがあり、噛むと蕎麦の風味が広がる。
なかなか良い蕎麦であることが実感できる。
それを、スープの中に…
ドローップ!
食べると、蕎麦の素朴な味とラー油のスパイシーさが相反するようで、不思議とまとまりの良い味になる。
そこにとろろが絡むことで、マイルドさであったり、フレッシュな食感が加わるのだ。
肉だってスープに漬けたい!
ドローップ!
おお…
中華風というか。
ラー油と肉、そこに蕎麦が絡むと、無国籍風だけども何故かまとまりのある味になり、たまらない。
ごまの風味も絶妙だ。
そこに、味変ツールとして生卵を…
ドローップ!
いきなり最初に割っても良いが、黄身はマイルドさを増すので、味変ツールとして途中で割ってみた。
生卵と肉、生卵とラー油、それぞれの角が丸くなり、優しい味になる。
なるほど…
ラー油という四川のスパイシー食材に、日本の伝統的な蕎麦、そこに肉や生卵をブレンドすることでこれまでにない料理になる。
だから蕎麦にラー油を入れるのか…
黄色い看板に書かれた「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」という問いかけは、新しい蕎麦を作っていくぞ、という意思の表れであった。
固定概念にとらわれない、新しいスタイルをどんどん試していく。
蕎麦にラー油をかけると、自分もそうでありたいと思えてくるのであった。