焼肉チェーンのパイオニアでありフラッグシップ
焼肉が好きならば、このお店の名前を知らない者はいないだろう。
「叙々苑」は、数々の新機軸を打ち出し、そして今なお羨望のブランドであり続ける焼肉チェーン店。
その1号店であり本店は、六本木にある六本木本店だ。
六本木交差点からほど近い外苑東通りに、叙々苑の六本木本店がある。
ビルの2階に入居するここが、叙々苑の六本木本店だ。
それでは、入店してみよう。
「美味追求 日々探求」の叙々苑が作り出したもの
「叙々苑」は、1976年、創業者の新井泰道氏によって作られた焼肉店だ。
新井氏は、中学を卒業する前の1958年に家を飛び出し、新宿の焼肉店で働き始めた。
14年間修行をした後、神楽坂の住宅地にある焼肉店の共同経営者となった。
しかし、住宅地では価格が上げられないと悟った新井氏は、一番高く売れる場所として六本木を選び、「叙々苑」の1号店となる六本木店をオープンした。1976年のことである。
その名前の由来は、焼肉を「ジュー・ジュー」と焼く音から。
そこに、「叙情的」で使われる「叙」の漢字を当てたものだ。
当時は外苑東通りに面した狭小店だったが、ライバルを徹底研究したサービスや新メニューで人気店となり、徐々に席数を増やしていく。そしてバブル期には芸能人が通う店として大ブレイクする。
2017年、六本木本店は現在のビルへと移転した。
叙々苑が始めた新サービスは実に多い。
焼肉店なのに赤いカーペットを敷くこと、スタッフが片膝をついて注文を伺うこと、東京での無煙ロースターの導入、紙エプロンの配布、肉を1枚の皿に並べること、タン塩にレモンをかけること、食後にガムを渡すこと…
これら、今ではどの焼肉店でも当たり前のサービスも、全て叙々苑が始めたことなのだ。
2023年2月現在、全国に61店舗で運営されている。
また、叙々苑のさらに高級版である游玄亭は8店舗で運営されている。
シックな黒い壁が印象的なエントランスには、「美味追求 日々探求」と書かれたポスターが掲示されている。
フロアは半個室席とテーブル席がある。
テーブル席からは外苑東通りの様子が窺える。
各テーブルには無煙ロースターが設置されている。
無煙ロースターが初めて設置されたのは、大阪・千日前の焼肉店「食道園」だ。
東京ではこの叙々苑 六本木店が初となる。
叙々苑の無煙ロースターのコントローラーパネルは、叙々苑のシグネチャーモデルだ。
こちらが叙々苑 六本木本店のメニュー類。
黒いメニュー表はドリンクメニューだ。
訪れたのは昼時なので、通常だとランチメニューからのオーダーとなるが、グランドメニューも用意して頂いた。
メタリックな表紙が、ただ者ではない雰囲気を醸し出している。
1ページ目から、焼肉会席のコース3種類の紹介。
シャトーブリアンコース、雪、月の3つだ。
このシャトーブリアンコースが叙々苑で最も高価なコースであると考えると、高級焼肉店の価格としてはべらぼうに高いわけではなさそうだ。
こちらがアラカルトのページ。
シャトーブリアンは単品で12,000円となっている。
さまざまなカルビ焼のラインナップ。
叙々苑の名を全国に知らしめたのは、叙々苑サラダの存在が大きいのではないだろうか。
こちらは焼肉弁当のラインナップ。
叙々苑のお弁当は、芸能人の楽屋御用達というイメージがある。
でも、ランチタイムなのでランチメニューをオーダーしよう。
ベーシックな焼肉ランチなら3,000円とお手頃だが、肉は加工牛でのみ整形された合わせ肉とのこと。
今回は「ミックスランチ」をオーダー!
赤身ロース焼、カルビ焼、エビ焼が楽しめる。
数量限定の「牛切落し焼ランチ」「たんざくタン塩だれ焼ランチ」などもあった。
こちらがドリンクメニュー。
生ビールはもちろん、様々なドリンクが用意されている。
紙ナプキンには叙々苑のロゴマークが印刷されている。
叙々苑のタレなどがお土産であるという。
極めて上質な焼肉ランチ体験
ランチタイムでオーダーした「ミックスランチ」のセット!
叙々苑サラダもセットに含まれている。
ドレッシングが独特で、酢を使っていないその味付けは、焼肉にベストマッチと言えそうだ。
カクテキとキムチ。
ナムルの盛り合わせもある。
スープはわかめスープだ。
そして届けられた肉とエビの皿!
これが「赤身ロース」。
その名のとおり脂身がほとんど無い。
こちらは「カルビ」。
赤身ロースとは違い、比較的脂身の多い部分だ。
そしてエビも!
いよいよ焼き始める。まずはカルビから。
ジュージューという音、これが叙々苑の名前の由来だ。
口に入れた時の柔らかさ、そして甘みのある肉の味が、上質な和牛であることを物語っているようだ。
エビは2匹用意されている。
縦に切れ目が入っているので、中まで火が通りやすい。
こちらは赤身ロース。
サクサクっとした歯応えと、軽い喉ごしが魅力的だ。
そしてまたカルビへと…
脂身が多くても軽い。
上質な肉ならではの食べ心地だ。
デザートは杏仁プリン。
ソフトなプリンに、甘酸っぱいフルーツソースがドロップされている。
ランチタイムは食後のドリンクまでがセットだ。
今回はホットコーヒーをチョイス!
そして退店する時には、叙々苑オリジナルパッケージの、グリコ製口中ケアタブレット「BREO」がもらえる。
以前はガムだったが、食べきれるものへの変更ということで、近年になってタブレットにされたものだ。
焼肉界のパイオニア、叙々苑。
焼肉店のスタンダードを作り、リードしたのは叙々苑だ。
その1号店である六本木本店は今も六本木のど真ん中にある。
全国に店舗を持つチェーン店でありながらも、その格式と威厳は今も存在しており、多くの食通を唸らせ続けている。